2011年4月19日火曜日

新社会人の常識お金との付き合い方(下)給与明細書、受け取ったら

手当・天引きも把握
支給項目 基本給などの「対価」  控除項目 税・保険役割知ろう
 4月も半ばを過ぎ、新社会人の多くがもうすぐ初めての給与を手にする。給与明細書が配られたら、手取り金額だけに注目するのではなく、各種の手当や天引き項目などにも目を通すことが大切だ。毎月の給与から支払う社会保険料や税の使い道、役割を知ることで、社会人として必要な知識が身に付くからだ。
 「給与明細書には会社に貢献した対価と、社会に貢献した費用が網羅されている」。こう話すのはファイナンシャルプランナー(FP)の山中伸枝さんだ。
 社会人になれば学生時代と違い、一日の大半を仕事に費やす。「対価」の部分ばかりを意識していると、「もらえる額」である手取り額しか注目しないようになる。「貢献」の方にも目を向けることで「明細全体をきちんと読むようになる」と山中さんは説く。
 表は新社会人の一般的な給与明細書の例だ。ちなみに、手取り額とは「総支給額」から社会保険料と税金を差し引いた金額のことを指す。
明細は3部構成
 税理士の大沢育郎さんは「給与明細書は『勤怠』『支給』『控除』の3部構成」と説明する。「勤怠項目」には残業時間、休日出勤時間、欠勤日数など給与支払いの基となるデータが記される。表にはないが、有給休暇の残日数なども確認することができる。
 「支給項目」は基本給と各種の手当で構成する。手当の種類は業種や規模、個々の業務内容によって様々で、役職手当、時間外手当、家族手当などが一般的だ。仕事で使う携帯電話の通信手当や、資格取得を促す資格手当などを設けている会社もある。これらの手当は課税対象となる。半面、一定額までの通勤手当は非課税扱いだ。
 休日数や基本給、手当の額、支給要件などは勤め先の「就業規則」や「給与規定」で定められている。きちんと目を通し、理解を深めておこう。
 一方、「社会への貢献」に該当するのが「控除項目」(天引きされる項目)。中でも額が大きいのが、健康保険や厚生年金といった社会保険料だ。新社会人の場合、健康保険と厚生年金の保険料引き去りを5月からとしている会社も多い。
 社会保険とは制度への加入者が支払う保険料と、国や地方自治体が拠出する税金とで運営する「社会全体の助け合いの仕組み」(社会保険労務士の安藤貴裕さん)のこと。天引き額は総支給額を等級に当てはめ、法律で決めた料率を掛けて算出する。
 もちろん、払い損になるのではなく、納めた本人にもメリットがある。
 最も身近なのは健康保険。会社員が加入するのは、主に中小企業の社員が加入する「協会けんぽ」と、企業や業種ごとに運営し、大企業の従業員が多く加入する「組合健康保険」。
 家族も含めて、医療費の自己負担割合が実際の費用の3割で済む。入院などで1カ月の医療費が高額になった場合でも、自己負担を一定に抑える「高額療養費制度」もある。
 けがや病気で働けなくなった時に給付される「傷病手当金」や「出産手当金」などは、自営業者などが加入する国民健康保険にはない給付メニューだ。
 厚生年金保険料は主に65歳以降に受け取る老齢年金の掛け金。会社員は厚生年金に加入することで、同時に国民年金にも加入している。「年をとるまで自分には関係がないと思っている人も多い」(安藤さん)が、若くして障害を負った時に受け取る年金や、死亡時に遺族が受け取れる年金もある。
 雇用保険は失業時の給付が主だが、育児や介護で休業する時には、給料の一定割合が支給される。
 健康保険と厚生年金は保険料の半額を、雇用保険は通常約6割を会社側が負担している。労災保険は「保険料が全額会社負担のため、給与明細書に記載はないが、労働者を守る社会保険のひとつ」(安藤さん)。業務中や通勤途中に負ったけがなどの治療費が全額支払われる。
 税理士の大沢さんは、これらの社会保険制度を「社会人のセーフティーネット」と呼ぶ。FPの山中さんも「充実した給付内容を知れば、独身のうちから手厚い保障内容の生命保険や医療保険に入るといった無駄を省ける」と指摘。そのうえで「目標は買い物でも旅行でもいい。新社会人は毎月一定額を貯金に回す癖をつけたい」と話す。
確定申告で還付
 所得税と住民税は、社会保険料と通勤手当を差し引いた「課税対象額」から計算される。住民税は前年の給料が対象のため、新社会人1年目は払わない。納めた税金は警察や消防、ごみ収集などの公共サービス、道路整備などに使われている。
 所得税は年間を通して同程度の収入があるとの前提で計算している。課税額は1年間の収入が確定する12月に勤務先で「年末調整」をし、確定させる。原則、年10万円以上の医療費がかかった人や、住宅ローンを借りて購入した家に住んで1年目の人などは税務署に「確定申告」をすると、納めた税金が戻ってくる。

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