2011年5月31日火曜日

旅行積立、旅先・時期明確に――利率、年1%台後半~3%

一括払い上乗せも
 そろそろ夏休みの旅行計画を立て始めた人もいるだろう。旅行には行きたいが、資金がたまらないという人に向くのが、旅行会社や航空会社の旅行積立サービス。使い道が限られるため、計画的に費用をためることができる。利用時の注意点や各社のサービスの特徴をまとめた。
口座引き落とし
 旅行積立とは、満期に受け取る旅行券の金額と積立期間をあらかじめ決めたうえで、月々一定額を銀行口座からの引き落としで積み立てる仕組み。旅行会社や航空会社が様々なプランを用意している。満期時には、年利に換算して1%台後半から3%のサービス額(利息に相当)が上乗せされる(図A)。
 ファイナンシャルプランナーの平野泰嗣さんは「旅行に行きたい気持ちはあるが、資金がなかなかたまらない、手元にまとまった余裕資金がないという人に向くサービス」と話す。
 積み立てを始めるにあたっては、いくつかのポイントを押さえておきたい(表B)。まず、銀行預金ではないので、上乗せ付与されるサービス額に対して税金はかからない。ただし万一、積立先の会社が破綻した場合の元本保証はなく、手持ちの旅行券が使えなくなるおそれもある。
 旅行ジャーナリストの村田和子さんは「『3年後に家族でハワイ旅行』『退職したら夫婦で欧州を回る』など、旅行の行き先と時期のうち、少なくとも一つは決めておいた方がいい」と指摘。「震災後、外国人旅行客の減少で国内の観光地はどこも苦しい。東北を含め国内への旅行を計画してはどうか」と提案する。
 「銀行に預けるよりも利率が高い」というだけの理由で積み立てを始めても、旅行券の使い道は旅行関連に限られている。せっかく手に入れた旅行券も使わなければ無駄な支出でしかない。先の予定がなかなか立たない人や、思い立ったらすぐに旅行に出掛けたいという人にも向かないサービスといえる。
 積立先の会社を選ぶポイントは、行き先がすでに決まっているかどうか。節約アドバイザーの矢野きくのさんは「ハワイや沖縄など国内外のリゾート地に行くと決めているなら航空会社で、行き先が決まっていないなら旅行会社がよい」と助言する。
 表Cに旅行、航空各社の主な旅行積立サービスをまとめた。全日本空輸と日本航空は旅行各社に比べ、サービス率が高い。理由は両社の販売するツアー商品の行き先が原則、自社便の就航先に限られるためだ。旅行券は航空券のみの購入や系列ホテルでの支払いなどに使うこともできる。
 一方、旅行各社はサービス率は低めだが、交通手段や航空会社の別なく国内外の幅広い旅行先を手配できる利点がある。ただ、日本旅行を除きJR券のみの購入はできない。航空券のみの購入ができるか、物販に利用できるか、釣り銭が出るかなど、事前に旅行券の使える範囲をよく確認するのが肝心だ。
再発行は不可能
 満期後に届く旅行券は金券だ。紛失や盗難に遭っても再発行はしてもらえない。ただし、JTBと近畿日本ツーリストは紙の旅行券ではなく記名式のカードを渡しており、再発行に応じている。カード番号などを入力することで、ネット上で予約から決済まで完了させることもできる。
 途中解約を申し出た場合、払い戻しは現金ではなく旅行券となる。積立期間が1年未満ではサービス額の上乗せはなく、会社によっては千円未満の金額を切り捨てるため、元本割れとなることもあるので注意が必要だ。月々の積立額は無理のない範囲で設定したい。ボーナス月のみ増額できる会社もある。
 各社とも、積み立てに比べてサービス額が増える一括払いコースも用意している。旅行ジャーナリストの村田さんは「一度にまとまった資金を用意できるのであれば、クレジットカード会社のツアーデスクを利用する手もある。3~5%引きで大手旅行会社のツアーを手配でき、ポイントもたまる」と話す。

2011年5月29日日曜日

口座管理を応用、家計簿作成

 銀行口座やクレジットカードの利用状況など、登録した複数の明細情報を収集してインターネット上で一覧できる口座一元管理サービス。この仕組みを使って、収集した情報をもとに家計簿を自動的に作成するサービスが相次いで登場している。家計簿をつける手間を大幅に減らし、家計や資産の管理を簡単にできる利点がある。
 NTTコミュニケーションズは4月から「OCN家計簿」のサービスを始めた。電子メールのアドレスや氏名などを登録すれば、ネット接続サービスのOCNの会員でなくても無料で利用できる。ネット専業銀行のソニー銀行も3月から、預金者向けに提供している資産管理ツール「人生通帳」に家計簿機能を追加した。
 各社の明細情報をネット上で閲覧するのに必要なIDとパスワードを登録して利用する。明細情報を日付順に一覧にして表示したり、1カ月の支出の内訳を費目ごとに分類したりできる。現金での買い物など登録口座を通さない取引の情報を反映させるには、手入力をする必要がある。

被災地支援に「ご当地ファンド」は?、リスク分散や運用方法留意

ファイナンシャルプランナー 深野康彦氏
 東日本大震災で被害を受けた東北地方のために何か役に立ちたいです。寄付もしましたが、長期で継続的に応援する方法がないか探しています。地方の企業を応援する「ご当地ファンド」があると聞いたのですが、詳しく教えてください。(千葉県、33歳、女性)
 特定の地域に本社や製造拠点などがある企業の株式を組み入れたご当地ファンドは珍しくありません。投信評価会社モーニングスターによると、ご当地ファンドは2011年4月末で全体で50本、東北地方に関連した商品は3本あります。被災地域と関係の深い企業の株式を組み入れた投資信託を買えば、間接的に企業の株を買うことになり、その地域に投資という形で貢献することができます。
 ただし、ひとくちにご当地ファンドといっても投資先や運用方法はそれぞれ違うので注意が必要です。ご当地ファンドの中には、安定的な運用を目指して約7~8割を外国債券に投資しているものもあります。被災地の企業を応援するつもりで投資しても、その意図とややずれてしまうこともありうるのです。運用会社はホームページなどで投信の月次情報や運用報告書を公表していますので、一度確認してみることをおすすめします。
 また、ご当地ファンドの特徴として、投資先が特定地域に集中するので、組み入れ銘柄の産業構成が偏る傾向があります。
 例えば、東海地方のご当地ファンドはトヨタ自動車系を中心に輸送用機器が4割以上を占めるものがあります。投資分野が分散されていないので、円高や海外勢との競争激化など業界を取り巻く経営環境が急変すれば、基準価格が大きく振れてしまうリスクがあります。今回の東日本大震災のような大規模な地震や津波が発生した場合も、投資先が特定地域に集中していると、影響を受けやすくなります。
 投信によっては、購入できる場所が地方銀行や地場証券の店舗に限られることもあるので注意しましょう。もし東北地方の企業を継続的に応援したいのであれば、東北と関係の深い企業を自分で調べて、その株式に直接投資する方法もあります。

カーシェア、多彩なプランどう選ぶ?――月額基本料も費用左右、拠点の場所と数確認。

 複数の会員が自動車を共同で利用する「カーシェアリング」を使う人が増えている。15分ごとに利用料金がかかるものから6時間以上のパック料金までと、料金のプランも幅広くなってきた。日常生活での車の利用パターンに合わせたカーシェアリング選びのポイントをまとめてみた。
 東京都在住の女性会社員(28)は最近、カーシェアを始めた。家の近所の月決め駐車場にあるカーシェア用の車を使って、週末は友人などとショッピングやドライブに出かける。1回当たりの使用時間は最低でも6時間以上と長いが、「使ってみたらレンタカーよりもお得」と話す。
6時間4000~6000円程度
 カーシェアは近年、駐車場運営事業者などが相次ぎ参入し、市場が拡大しているサービスだ。事業者が駐車場などに車を置き、会員が共同で利用する。会員は入会費や月額基本使用料、時間に応じた利用料などを支払う。10~15分単位で利用できるため、以前は短時間利用はカーシェア、長時間ならレンタカーとされていたが、パック料金の登場で変わりつつある。
 カーシェアの長時間パックは6、12、24時間の3種類が多い。夜間を割安に設定したパックを提供している事業者もある。6時間パックであれば、利用料金の相場は4000~6000円。通常、レンタカーを同時間借りると5000円以上することから、カーシェアの方が割安となる場合もある。
 そこで、車を6時間使う場合を想定して、主なカーシェア事業者の料金を比較してみた。
 月額基本使用料1000円前後、排気量1300cc前後の小型車を選ぶ条件で、主な事業者の6時間パック料金を比べると、パーク24が運営する「タイムズプラス」の3900円がもっとも安い。カーシェアでは一般的にガソリン代をとらない代わりに1キロメートル当たり15~20円の走行料金が発生するが、タイムズは6時間パックの利用であれば、この料金が発生しない。
 各社とも月額基本使用料1000円前後はほぼ最低価格だ。基本料を上げれば車の利用料金が下がる仕組みもある。オリックス自動車の「オリックスカーシェア」では基本料を2000円にすれば、6時間パック料金は3500円に下がる。1カ月に車をどの程度利用するのかを考えてプランを選びたい。
 カーシェアで根強い需要があるのが短時間利用だ。パーク24によれば「利用件数の約6割が短時間料金で車を利用している」という。主婦が子どもの学校や塾の送り迎えや、スーパーマーケットにまとめ買いをしに行くときなどに使うことが多いという。
駐車場・平日お得…
 同一条件の料金プランで15分当たりの価格を比べると、安いのはタイムズプラスと名鉄協商(名古屋市)の「カリテコ」で200円。カリテコは名古屋を中心に展開しており、車の利用時には名鉄協商運営の駐車場が無料になるサービスが特徴だ。
 三井物産子会社のカーシェアリング・ジャパン(東京・渋谷)が展開する「カレコ」も独自性がある。同社は月額基本料980円で「平日プラン」を設定。休日は割高だが、平日であれば10分当たり100円(15分換算で150円)で車を使える。日本駐車場開発の「エコロカ」は月額基本料を2980円に設定すれば、15分160円で利用可能。定期的に利用するようであれば、ともに割安なようだ。
 大半の事業者の月額基本使用料には、車の無料利用分が含まれている。タイムズプラスの場合、月額基本使用料が一律1000円で、使った利用料金のうち1000円分は月額基本料から支払われるので、請求されない。日本カーシェアリング(横浜市)の「アイシェア」では月額基本使用料がない。
 また、カーシェア選びでは近くに拠点があるかどうかも大事だ。頻繁に車を使うのなら自宅から近い方がいい。事業者を選ぶときは、まず拠点の場所を確認しよう。
 同じ事業者の拠点であれば、会員はどこでも利用できるケースも多い。外出先で車を気軽に使いたいときに、この仕組みは便利だ。拠点数の多さも事業者選びのポイントとなる。
 カーシェアでも車種にはこだわりたい――。そんな欲張りな人もいるかもしれない。これまでカーシェアでは排気量1300cc以下の小型車が主流だったが、最近は車種も多様化しつつある。
電気自動車も登場
 主要事業者のなかでは、カレコが20車種と多い。小型車はトヨタ自動車の「ヴィッツ」からミニバンタイプのホンダの「フリード」までをそろえる。さらにトヨタの「プリウス」や三菱自動車の「i―MiEV(アイミーブ)」などハイブリッド車や電気自動車も6車種ある。
 エコロカは比較的大型のミニバン「エスティマ」(トヨタ)や「オデッセイ」(ホンダ)をそろえている。伊フィアットや独フォルクスワーゲンなど輸入車を用意している会社もあるので、毎日の買い物や週末のドライブなどの利用目的に合わせて車を選ぶのもよいかもしれない。

使用頻度で変わる割安感
 カーシェアリングはレンタカーや新車購入と比べ割安なのか。都市部で使うと想定し1カ月の費用を試算した。
 マツダの小型車「デミオ」を対象に月に6時間ずつ4回利用し、計200キロメートル走る場合を比較した。その結果、カーシェアの費用は月1万5600円となり、レンタカーの約2万4400円を下回った。新車は1カ月の駐車場代金、年間自動車保険料がそれぞれ3万円とすれば、月換算の費用は約3万7370円となる。
 これだけ見るとカーシェアが割安といえるが、月に10回使うと費用は3万8000円になり、新車購入とあまり変わらなくなる。週末だけ乗るといった限定した使い方であればカーシェアはお得となるようだ。
 また、カーシェアは小型車が中心なので、家族で移動できる大型車を使いたいのならレンタカーが良いだろう。

2011年5月28日土曜日

複数の預金口座、賢く使う――利便性・金利などで分散

 東日本大震災やみずほ銀行の大規模システム障害などで、安全だと思われている預金口座であっても、すぐに現金を下ろせない経験をした人は多いだろう。いざというときに慌てずに済むように、複数の預金口座を使いこなす方法を考えてみよう。
 「大震災をきっかけに、すぐに預金を下ろせることがどれだけ便利かということに気付いた」。東京都の会社員、橋野秀一さん(仮名、36)はこう振り返る。橋野さんは妻と子供の3人家族。大震災の直後、家計のすべてを預けていたみずほ銀行のATMから現金を下ろせなくなり、慌てたという。
 万一の場合、1つの銀行口座だけにお金を預けるのはリスクが大きい。ファイナンシャルプランナー(FP)の坂本綾子さんは「今後もシステムダウンの可能性を織り込んで金融機関とつきあうべきだ」と話す。
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 銀行の預金口座は、仮に銀行が破綻してもペイオフの範囲である元本1000万円とその利息までは保護される。ただ、1つの銀行に集中して預けるのは避けたい。「複数の銀行口座を持てば、1つの金融機関がシステムダウンしても、別の銀行口座のお金を下ろせる」と坂本さんは指摘する。
 どんな銀行に分散して預けるといいのか。まず最も頻繁に取引するメーンバンク。これは給与振込や公共料金の引き落としに使っている口座にする。メガバンクや地方銀行が一般的だ。
 サブ口座も作っておきたい。預け先として坂本さんが提案するのは休眠口座の利用だ。昔は給与受取口座として使っていたが、今は残高がほとんどないような口座を使えば、新たに口座を開設する必要もない。
 サブ口座として向いているのが、ゆうちょ銀行とネット銀行だ。「ゆうちょ銀は全国に約2万6000台のATMがあり、日本全国で利用できる」(坂本さん)。災害時に住まいを一時的に移しても現金を下ろしやすいうえ、ゆうちょ銀の総合口座利用者ならATMの引き出し手数料が無料だ。
 このゆうちょ銀と相性が良いのがネット銀だ。図Aのように、ゆうちょ銀のATMからネット銀行口座の預金を引き出すときの手数料が無料というケースが多い。ネット銀の金利の高い定期預金を活用しながら、ゆうちょ銀のATMを使うという合わせ技を身につけたい。「3つの銀行に預金口座を持ち、サブ口座にはそれぞれ30万円ほど預けておけば、当面の交通費や緊急の医療費として使える」(坂本さん)
 災害のときだけでなく、運用先の相場急変などの緊急時にも換金性は大切だ。FPの花輪陽子さんは、銀行の分散に加え、証券口座を使ったマネー・リザーブ・ファンド(MRF)の利用を紹介している。
 MRFは主に公社債で運用する投資信託。証券会社は手数料無料で顧客口座の余裕資金をMRFで自動的に運用している。毎日自由に引き出せるので、普通預金と変わらない感覚で使える。
 現在のMRFの利回りは約0・08%(野村MRFの7日間平均、年換算)。元本保証でない分、銀行の普通預金金利よりも高い。余裕資金を預ければ株式などに機動的に追加投資でき、収益機会も逃さずにすむ。
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 MRFを解約して現金を下ろすときは、提携金融機関やコンビニのATMも利用できる。「換金性を第一に考えれば、近所のコンビニなどで出金できることは大切」(花輪さん)。野村証券や大和証券、マネックス証券のMRFでは、セブンイレブンにあるセブン銀行のATMから基本的に手数料が無料で出金できる。証券会社によって提携先の銀行やコンビニ、手数料が違うのでチェックしておきたい。
 複数の金融機関口座を持つと、どの口座にいくら預けているかをまとめて把握するのに困るだろう。ネット銀行などのパスワード管理が面倒という人もいる。花輪さんは「ネット上のサーバーにデータを保存するというクラウドサービスを、口座管理にも導入すると便利」とアドバイスする。花輪さんが注目しているのはマネールック(https://www.moneylook.jp)という無料の口座一元管理サービスだ。
 登録できる金融機関は700以上に増え、ツイッターやメールからも家計簿などを記録できる。銀行や証券会社などの口座情報を登録しておけば、一度の認証で残高や履歴の一覧表示が可能だ。
 メガバンクでは一定の条件を満たせばコンビニATMの手数料が無料になるサービスもある。今回紹介したのは1つの例なので、いざというときに備えて自分の生活スタイルに合った口座の使い方を調べてみよう。

手ぶらでサクサク仕事術――写真や書類、ネット保存

 「膨大な書類を簡単に管理したい」「家族や友人で写真を共有したい」。そんな願いを抱く人にとって便利なサービスが広がっている。インターネットにつながる環境があれば、場所や道具に縛られずうまくデータを管理できるという。仕事や趣味で生かせるワザを、ネットの達人たちに聞いた。
 「仕事部屋はあるが、ほとんど使わない」。テクニカルライターの原如宏さんはほぼ毎日、東京都内のカフェを巡りながら執筆活動をする。持ち歩くのは最低限の書類と手帳、ノートパソコンやスマートフォン。無線LAN(構内情報通信網)でネットにつながる環境があれば困らないという。ノートパソコン1台でサクサクと仕事をする姿はなんだか軽快だ。
◎   ◎
 原さんはまず、とにかく紙の資料をデータ化するという。書類などはスキャナーで一気に読み取り、名刺は携帯電話で撮影。それらを保存しておけば紙の資料を持ち歩いたり、ため込む必要がない。「データにすればパソコンで検索できるので情報を探す手間も省ける」。会社の机で書類の山から目当ての書類を探すために悪戦苦闘するようなことはなくなりそうだ。
 読み取ったデータの保存先として便利なのが「クラウドコンピューティング」と呼ばれるネット上のサーバーだ。ネットに接続すれば、どの端末からアクセスしてもデータやソフトを利用できる。有名なものには米グーグルのメールサービス「Gメール」などがある。
 パソコンのハードディスクに保存した情報を持ち歩く手段としては「USBメモリー」があるが、保存・読み込みに手間がかかる上、USBを紛失するリスクもある。データをネット上のサーバーに預けておけば、外出先でスマートフォンやタブレット端末でも情報を引き出せるので、複数の機器を使い分ける人にとっても便利だ。
 ウェブサイト構築のサイバーローグ研究所(東京都渋谷区)社長の大橋悦夫さんは、このようなウェブサービスを多用する一人。中でも「エバーノート」というサービスには1万個以上のファイルを保存しているという。
 街中を歩いていて仕事のアイデアが思い浮かぶとスマートフォンでメモし、気になった店舗や風景に出合ったら写真を撮る。これらのデータを片っ端からエバーノートにアップ。いわばネット上に「巨大なメモ帳」を持っているようなものだ。「とにかく何でも情報を集めておく。企画書のアイデアや取引先との会話の材料など、思いがけない場面でそれが役に立つことがある」と大橋さん。
◎   ◎
 ビジネスだけでなく、家計管理にも使える。例えば、スーパーやレストランのレシートを写真で撮っておく。写真には日付も記されるので、保存しておけば、いつどこでいくら使ったかが一目で分かる。レシートには店の電話番号が記載されていることが多く、後で問い合わせをする時にも便利だ。
 ネット上のサーバーは複数でデータを共有することにも向いている。仕事で同じプロジェクトに携わるメンバーで共有フォルダを作っておけば、アクセスするだけでデータをやりとりできる。
 家族や友人であれば、それぞれが撮った旅行の写真や動画をアップしてみんなで共有できる。動画は容量が大きいのでメールでは送りづらいが、これなら問題が少ない。
 IT(情報技術)を活用した営業方法をコンサルティングする斎藤昌義さんは「ウェブサービスには保存可能な容量の制限やファイル形式、操作方法などの違いがあるので、目的に合わせて選ぶといい」と話す。
 利用する上で注意点もある。ネットにつながらない場所ではデータにアクセスできないし、サーバー上のデータが消えてしまうという危険性も無くはない。情報を複数の場所に分散させるなど、慎重を期すことも大事だろう。

2011年5月25日水曜日

家計・教育・健康…平均以上でも、日本人「生活に満足」40%

OECD「幸福度」指標 世界平均下回る
 経済協力開発機構(OECD)は24日、加盟各国の国民の暮らしの「幸福度」を評価した結果を公表した。日本は家計や雇用、高等教育、健康など多くの指標で平均を上回る位置につけたものの、生活への満足度は低かった。
 OECDは国内総生産(GDP)に代わる国民の豊かさを測る指標として、幸福度の世界共通の指標作りを検討中。2012年11月のインドでの会議で加盟各国が案を持ち寄ることになっており、13年以降に新指標に沿って順位などを含めた詳細な結果を公表する方針だ。今回の発表はそれに向けた中間的な報告になる。
 経済面でみると日本の家計の可処分所得はOECD平均を上回り、さらに家計資産は同平均の約2倍と恵まれていた。
 15~64歳の労働年齢人口で有給の仕事に就いている日本人は約70%。OECD平均の65%を超えた。失業率も同平均より低かった。また長いといわれる日本人の年間労働時間は1714時間で、OECD平均の1739時間より少なかった。
 教育面では、日本人の学歴や読解力はOECD内の上位に入った。平均寿命は82・7歳と加盟国中最も長かった。OECDは日本について「多くの幸福指標で平均以上」と高く評価している。
 一方、生活に満足している日本人は40%にとどまり、平均の59%を大きく下回った。満足度はデンマーク(90%)やフィンランド(86%)など北欧で高い。

2011年5月24日火曜日

電子マネーの基礎知識(下)ポイント付与見比べて

「袋分け節約法」に活用も
紛失時 記名式なら再発行
 キャッシュカードやクレジットカード、社員証、携帯電話――。気がつけば、身の回りの様々なものに電子マネーがついている。ポイントをためるなど現金よりお得な使い方もある。落としたり発行元が破綻したりしたらどうなるか、注意点も知っておこう。
 「代金はエディで払います」。東京都の会社員、Aさん(40)は積極的に電子マネーのエディを使う。目的は楽天スーパーポイント。エディの利用額200円ごとに1ポイントもらえる。「ちりも積もれば山となる。ポイントがたまれば現金よりお得」という。
前払いか後払いか
 主な電子マネーは利用額に応じてポイントがつく。野村総合研究所の「電子マネーに関するアンケート調査」(2010年)によると、電子マネーを使う理由で最も多かったのが「現金では受けられないポイントや割引のサービスがある」(複数回答で42%)だった。同社上級コンサルタントの瀬尾利数さんは「とくに女性はポイントなどのお得感に注目する」という。
 同じ電子マネーでも発行元が違うとポイントも違う。NTTドコモのiD(アイディ)は、同社が発行元で同社のクレジットカード「DCMX」についていれば「ドコモポイント」がたまり、クレディセゾンが発行元でセゾンカードについていると「永久不滅ポイント」がたまる。
 エディはビットワレット(東京・品川)が発行元で、携帯電話の「おサイフケータイ」機能で使う場合、楽天スーパーポイントや全日空のマイルなど10種類から選んでためられ、変更も自由だ。
 ポイントの付与率は通常、利用額の0・5%。もっと高いこともある。例えばスイカをJR東日本の駅の飲料自動販売機で使うと100円で1ポイントつく(付与率1%)。半面、スイカでポイントをためるには事前登録が必要で、支払いはできてもポイントがつかない店舗もある。ポイントがつく条件は電子マネーのウェブサイトなどで調べよう。
 前払い式と後払い式ではポイントの計算方法が違う(表A)。前払い式は支払うたびに計算。200円で1ポイントつく場合、398円の買い物では1ポイントしかもらえない。一方、後払い式は毎月の合計利用額で計算し、1回の支払額の端数が無駄にならない。電子マネーがついたクレジットカードの利用額が多ければ、付与率が上がったりボーナスポイントがついたりする。
 ただ「電子マネーは少額の支払いが多く、ポイントはクレジットカードに比べてためにくい」(瀬尾さん)のも事実。「お得感より使いすぎを心配する人も多い」という。
利用額多いと通知
 とくに入金不要の後払い式は、使いすぎが不安な人もいるだろう。そんなとき、例えばJCBが発行元のクイックペイは、カードと合わせた毎月の利用額があらかじめ設定した金額を超えると電子メールで通知する。こうしたサービスがあれば活用したい。
 前払い式は入金の手間を逆手にとると、支出の目的別に予算を別々の袋に入れて管理する「袋分け」に使える。
 例えば最寄りのスーパーで使える電子マネーを「食費専用」と決め、1カ月の食費の予算分を入金し、食材の買い物はそれだけで済ませる。交通系の電子マネーは交通費、コンビニや社員食堂で使える種類は平日の昼食用など、専用のお財布感覚で使い分けると袋分けと同じ効果がある。
 使いすぎを防ぐため、クレジットカードからの自動入金(オートチャージ)機能は利用しない選択肢もある。
 万一の事態にも要注意だ。なくしたらどうなるか。
 後払い式はクレジットカードと同じで、発行会社に連絡すれば利用停止される。先にお金を払う前払い式は、基本的には財布ごと現金を落とすのと同じだ。ただスイカやワオンは個人情報を事前に登録する「記名式」なら再発行が可能で、利用停止した時点の残高を移し替えて再び使える。ワオンは無記名でも、名前など一部の個人情報を簡易登録すればいい。
 前払い式は発行元が破綻したら残高が補償されるかどうかも気になる。中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也さんは「サーバー型を含む前払い式の発行元は、定期的に計算した未使用残高の半額以上を供託し、とりわけておくよう資金決済法で決まっている」と説明する。半額では不安との声もあるが「破綻時に残る会社の財産なども考えれば、ある程度は安全だ」という。

2011年5月22日日曜日

旅行各社が被災地応援ツアー

 東日本大震災後の観光客減少に悩む東北地方を支援する動きが、旅行会社などの間で広がってきた。
 クラブツーリズムは、首都圏や近畿圏などから青森県や山形県など東北各地の観光地を訪れるツアーを販売。添乗員が義援金募集の呼びかけも行う。福利厚生代行サービスのベネフィット・ワンは6月末まで、東北を含めた全国の提携ホテル・旅館の一部を対象に、会員が宿泊するごとに1件200円の義援金を被災地に送るプランを扱っている。
 JTBでは東京発着で、通常よりも割安な価格の「東北応援ツアー」を売り出したところ、5月出発分は完売した。6、7月出発分として福島県会津若松市や喜多方市を巡る1泊2日のバスツアーを販売中だ。旅行代金の3%を義援金に充てる。「今後も随時追加設定をしていきたい」という。
 東北新幹線は4月29日に全線で運転を再開した。JTBによると、津波の被害が大きかった沿岸地域を除き、多くの観光地で受け入れ態勢が整っているという。

専業主婦が働くときの公的負担は?

収入103万円と130万円で壁
ファイナンシャルプランナー 藤川太氏
 現在は専業主婦ですが、夫の収入が減少気味なうえ、子供の教育費も増えてきたので、パートで働こうと考えています。ただ、税金や社会保険料などの公的負担の増加が気がかりです。どうすればいいですか。(千葉県、42歳、女性)
 最近、パートで働くときの相談が増えています。東日本大震災の影響で、景気の先行き不透明感が強まっていることなどが背景にあるとみられます。
 専業主婦だった妻がパートで働くと、税金や社会保険料といった公的負担の増加で、世帯の手取り所得が減る場合があります。従来「103万円の壁」などとして問題視されています。妻の年収と公的負担の関係を表にまとめました。
 夫の収入が一定で妻のパート収入が年間103万円以下なら、妻自身の公的負担はなく、夫妻の手取りは妻の働いた分増えます。
 ところが、妻の年収が103万円超になると、妻の所得に課税される一方、夫は38万円の配偶者控除を受けることができなくなります。一般に配偶者特別控除があるので夫妻の手取りは増えますが、妻の年収が130万円以上になると、妻自身が社会保険料を負担する必要があります。妻は夫の健康保険の被扶養者でなくなるため、自ら国民健康保険に加入しなければなりません。パートでも通常の労働者の勤務日数や勤務時間の4分の3以上働く場合は、原則として健康保険、厚生年金に加入し保険料を負担する必要もあります。
 妻の年収が130万円を超えると約160万円までは妻の収入の増加額に比べて夫妻の公的負担額の増加額が大きく、夫妻の手取りは妻の収入が129万円のときより減ります。
 ただ、妻の年収が160万円を上回るあたりから、妻の年収増が再び夫妻の手取り増加につながるようになります。妻の公的負担が発生する103万円や130万円はそれ以上働いても収入が十分増えないか、マイナスの場合もあるという点で「壁」であり、それを超えない働き方をするのも手です。しかし、見方を変えれば、公的負担はあっても、厚生年金では将来の給付額増加につながり、老後の柱になります。
 資格取得などでスキルアップすることも考えましょう。「壁」を超えても手取りに影響しないような高待遇で働ける場所を探すのも選択肢の一つです。

ネット銀中心に、口座連携サービス生かそう――自動で資金移動、大手より高金利

銀行預金でも 証券取引でも ATM利用に条件 ペイオフリスクも
 同一グループの銀行と証券会社の口座を両方持つことで、簡単に資金移動などができる口座連携サービス。最近はインターネット専業銀行を中心に口座間で資金を自動的に移せたり、預金金利の優遇を受けられたりするサービスが登場している。証券投資にスムーズに資金を回せるので、上手に使えば便利だ。利用上のコツや注意点などをまとめた。
 「メガバンクの普通預金よりも金利が高いだけでなく、気になる金融商品にいつでも投資できる点が気に入っている」。東京都内に住む30歳代の女性会社員は、住信SBIネット銀行の「ハイブリッド普通預金」を利用する理由をこう話す。
 同預金の金利は年0・120%と大手銀行の普通預金金利(同0・020%)を大幅に上回る。この女性は毎月、大手銀行に振り込まれる給与から生活費を除いた金額をすべてハイブリッド普通預金に移しているという。その際は住信SBIネット銀行の口座ではなく、SBI証券に入金している。資金はハイブリッド普通預金に自動的に移るうえ、手数料もかからないからだ。
 同一名義の銀行口座と証券口座を持つ人が受けられる口座連携サービスを提供する金融機関は増えている。最近では大和証券が自社の口座と、2011年4月に設立したネット専業銀行の「大和ネクスト銀行」の口座を連携する「ダイワのツインアカウント」を5月から開始。楽天銀行と楽天証券も「マネーブリッジ」を今年4月に始めた。同様のサービスを取り扱う主な金融機関を表Aにまとめた。
実質的に一体化
 口座連携サービスは大きく分けて2つある。一つは口座間の資金を簡単に移せる「スイープサービス」。もう一つは預金金利の優遇だ。どちらも預金を証券投資に活用しやすくする仕組みで、「貯蓄から投資へ、という流れに不可欠なサービス」(大和ネクスト銀行の小出富城社長)といえる。
 スイープサービスに厳密な定義はないが、証券口座での取引に伴う現金などの増減に合わせて、銀行口座に自動的に入出金するサービスのことを指すのが一般的だ。パソコンの証券口座の画面から銀行預金の残高を確認できたり、証券取引に充当できる金額である「買い付け余力」に反映されたりする。
 例えば銀行口座に資金を振り込むと、当日中には証券取引でも利用できるようになるのが一般的だ。証券口座と銀行口座を実質的に一体運営することで、銀行口座の資金を融通して株式などの金融商品を機動的に購入できる。
 スイープサービスの仕組みを図Bにまとめた。スイープサービスが登場する以前にも、インターネット経由で銀行口座から証券口座へ手数料無料で即座に資金を移すサービスはあった。ただ、資金を移せる口座は大手銀行が中心。ネット銀行で利用できるところは限られていた。また、銀行口座や移したい金額などを利用者が指定するといった手続きが必要なものが主流だった。
保証金に充当も
 株式の信用取引の保証金に充当できるスイープサービスもある。例えばマネーブリッジでは、国内株式の信用取引で追加保証金の差し入れが必要になった場合などに銀行口座から自動的に振り替えられる。信用取引の担保として差し入れていた保有株式を売却されずにすむ利点がある。
 口座連携サービスでは、大手銀行などの普通預金に比べて高い金利を適用するところが大半だ。サービスを利用できるのは、店舗運営などにコストがかからず相対的に預金金利を高くできるネット銀行が中心。証券口座の待機資金を運用するための投資信託であるマネー・リザーブ・ファンド(MRF)よりも銀行口座の金利を高く設定することで、サービスの利用を促す狙いもあるようだ。
 サービスを利用する手続きは比較的簡単で、インターネットを通じて申し込むのが一般的だ。銀行と証券の口座を両方すでに持っている場合、各社が定める時刻までに申し込み手続きが終われば、当日中に口座連携サービスを利用できるところもある。
 キャンペーンを実施しているところもあり、口座連携サービスを受けられる銀行口座は高い金利が適用されるなどの利点がある。半面、ATMから預金を引き出しにくいなどの短所もあることに注意が必要だ。
 住信SBIネット銀行のハイブリッド普通預金の場合、提携ATMから直接引き出せない。引き出すにはSBI証券のキャッシュカードで証券口座経由で引き出すか、いったん同行の別の普通預金口座に振り替えなければならない。キャッシュカードを発行しない大和ネクスト銀行の場合も、大和証券のカードの利用や自分名義の他行の口座への振り込みが必要だ。
 様々なサービスが利用できる大手銀行と異なり、口座連携サービスを利用できるネット銀行の口座で、公共料金やクレジットカード料金の引き落としに利用できるところは限られる。ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さんは「口座連携サービスで利用する資金と生活費はきちんと分けておく必要がある」と助言する。
 口座のある金融機関が万が一、経営破綻した場合の違いにも注意が必要だ。証券会社の場合、顧客から預かった資産は証券会社の資産と明確に分別して管理することが義務付けられており、仮に破綻した場合でも顧客の資産は全額保全される。一方、銀行口座を保護する預金保険制度の対象は元本1000万円とその利息までで、それを上回った預金は保護の対象外だ。
 口座連携サービスを利用すると、株式などを買うときは銀行口座から証券口座経由で代金を支払うことができ、証券口座で管理していた株式などの売却代金は、相対的に金利の高い預金口座に自動的に移される。このため、特に株式などの売却代金が多額になる場合には、一時的に預金口座残高が膨らんで預金保険制度の保護上限を上回る可能性があることを、理解しておく必要がある。

2011年5月21日土曜日

自宅のネット契約見直そう――動画不要なら低料金に

 光回線や無線接続など、自宅でのインターネット接続サービスの選択肢が増えてきた。数年前に加入して以来、契約はそのままという人も多いだろう。高機能携帯電話(スマートフォン)でネットを主に使う人もいる。自分の生活スタイルや予算に合うか見直してみよう。
 インターネットを使うには通常、通信回線の事業者とインターネット接続事業者(プロバイダー)それぞれとの契約が必要になる。回線を提供するのはNTTグループやKDDIなど、プロバイダーはニフティやNECビッグローブなどで、利用者は両方に料金を払っている。料金や通信速度を見直す際にはまず、自分の利用法に適した回線かどうかを知る必要がある。
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 高速で安定した通信が可能で、映像配信など周辺サービスも充実しているのが光回線だ。NTT東日本は5月16日、新たな料金プラン「フレッツ光ライト」の受け付けを始めた。「毎月定額」が常識の光回線サービスに、利用量に応じた2段階の定額制度を導入した。
 最低料金は2940円(プロバイダー料金は別)。定額料金(戸建て向け)の半額に近い。月に200メガバイト(ホームページ約100ページ、メールを約100通送受信が目安)までは最低料金で済むという。それ以降は利用量に応じて金額が増え、最高額は6090円と同社の定額料金プランよりも高くなる。
 料金面では光回線を使った電話サービスの実質的な割引も見逃せない。基本料は月額500円ほどで、ダイヤル回線の基本料に比べ1300円程度下がる(NTT東の場合)。停電で使えなくなる弱点はあるが、通話料金を抑えられる。
 新規に光回線を契約するときは、工事費のほか当面の利用料でも大幅な割引を受けられることが多い。ただ、解約できない期間が長く設定されていたり、契約期間によっては割高になったりする場合もあるので注意が必要だ。
 料金の節約を優先したいのなら、必ずしも光回線がベストではない。最近は通話やメールを携帯電話やスマートフォンなどで済ます人は多いだろう。モバイルで通信料金がかさむ分、自宅でのネット利用料金を抑える考え方もある。
 ADSLは、速度に応じて複数の料金プランを設定している事業者が多い。低速プランならプロバイダー料金込みで月額2000円程度から加入できる。価格比較サイトのカカクコムでプロバイダーを担当する山下優・通信サービス部長は、メールや通常のウェブサイトを見る程度なら「低速のADSLでもそれほどストレスを感じないのではないか」と話す。
 ニフティでは都市部の単身女性会員を中心に高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」の利用が増えている。WiMAXは屋内の配線や導入時の工事がいらず、端末とパソコンを無線LANなどで接続すればよい。外出時にもWiMAX端末を持ち出して、パソコンやタブレット端末をつなぎ、インターネットを利用できる。
 自宅でケーブルテレビ(CATV)に加入しているなら、CATV会社が提供するサービスを使う方法もある。CATVは通信速度が安定しているとされ、高速通信が可能。映像サービスとのセット契約なら光回線などに比べ割安なこともある。
 ほとんど同じサービスを提供していても、事業者によって料金は異なる。よく調べて、より安い事業者や割引サービスを選ぼう。
 都内に住む30代の男性会社員は最近、契約プロバイダーをエキサイトが提供する「BBエキサイト」に切り替えた。料金が月525円と従来の事業者より800円ほど安い。電話相談などは別料金となる場合もあるが、年間1万円近い節約効果を優先したという。
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 プロバイダーを変更すると今までのメールアドレスが使えなくなると思われがちだが、月数百円でメールアドレスを継続できるサービスも多い。グーグルなどが提供する無料ウェブメールならプロバイダーを変更しても影響はない。
 KDDIは回線と携帯電話など複数のサービスに加入した場合の割引を充実させている。自宅の電話と家族の携帯電話の間での通話料が24時間無料になるサービスもある。家族同士の通話が多い家庭には魅力的だろう。
 インターネットは生活に欠かせないインフラになりつつあり、通信速度など技術革新のペースは速い。使い方によっても最適なサービスは変わってくる。自分に合ったサービスかどうか、ときどき確かめる習慣をつけたい。

2011年5月20日金曜日

夏期講習の販促激化――市進、講師が近隣学校訪問、リソー教育、プレ講座で囲い込み。

震災で落ち込み、挽回狙う
 学習塾大手による夏期講習の生徒獲得に向けた販促活動が例年以上に激化している。市進ホールディングス(HD)は5月下旬から各教室の講師が近隣の学校へ営業活動を始める。リソー教育は講習内容の一部を前倒しし、早期に生徒を囲い込む。東日本大震災の影響もあって各社は新年度の入塾者数が落ち込んでおり、巻き返しのきっかけとしたい考えだ。
 「市進学院」などを首都圏の約140拠点で展開する市進HDは各拠点に在籍する講師が近隣の小・中学校を訪問する営業活動を始める。従来は近隣世帯への折り込みチラシの配布などにとどまっていたが、「同じ場所に配るので限定的な効果しか得られない」(同社)。チラシなどの販促物を学校に直接持参する方が、生徒の獲得増が見込めると判断した。
 リソー教育は、個別指導塾「トーマス」で5月上旬から小中高生を対象に「プレ夏期講習会」を始めた。7月下旬から始まる夏期講習で扱う学習内容の一部を授業に盛り込む。プレ夏季講習会に参加後に夏季講習を受講すれば応用力が身につくことを訴え、早期の生徒獲得につなげる。
 早稲田アカデミーも夏季講習の募集チラシの配布を今年は早めることを検討している。
 一方、通常の生徒募集活動を強化する動きもある。全国に「栄光ゼミナール」など約380教室を展開する栄光は5月以降も新聞の折り込みチラシを配る頻度を落とさず、販促を継続する。
 例年は新年度に入り生徒の入塾が落ち着く段階で配布は抑えていた。震災後に休止していたテレビCMも4月に再開した。
 小学校では今年度から学習内容が大幅に増える「新学習指導要領」が全面実施された。このため学習塾各社は、学習時間を補うため、特に小学校低学年の入塾が増えるとみて、「7月時点の在籍生徒数は前年比2~5%プラスを予想していた」(栄光)など大きな追い風とみていた。
 しかし震災後の安全性への懸念や先行きへの不透明感などから、「受験生以外は入塾を夏以降に見送る人が目立つ」(学習塾大手)という。栄光では3月の入塾者数が前年同月と比べ1割弱、市進HDでは2割程度減ったもようだ。早稲田アカデミーでは3月中旬の問い合わせが「例年の半分の500件程度にとどまった」。
 学習塾業界にとって2~4月は年間入塾者数の半分程度を取り込む最大の書き入れ時である。夏期講習を過ぎてしまうと受験対策期間も短くなるため入塾者の大きな上積みは見込みにくい。震災が景気や企業業績に影を落とす中、家計のうち教育費を絞り込む動きも想定され、限られた生徒の獲得に向けた競争が厳しさを増しそうだ。

2011年5月17日火曜日

電子マネーの基礎知識(上)支払時の手間解消、買い物傾向考え選択を

手軽ゆえの使いすぎ注意
 専用端末にかざすだけで支払いができる電子マネー。現金やクレジットカードより手軽なうえ、利用額に応じてポイントがたまるなどの利点があり、日常的な決済手段として定着している。多くの種類のなかから自分に適したサービスをどう見つけるか。電子マネーを使いこなすのに役立つ基礎知識やお得な利用法を、2回にわたり紹介しよう。初回は基本的な仕組みについて解説する。
 「興味があるので使ってみたいが、難しそう」「仕組みがよく分からないため、不安で利用できない」。電子マネーと聞いて、こんな感想を持つ人も多いだろう。仕組みを理解し正しい知識を身に付けることが、不安を取り除く第一歩だ。
 一般的に電子マネーとは、主に少額の買い物をする際、電子化したお金の情報などをやりとりすることで支払う手段をいう。具体的にはICカードや、ICチップを搭載した携帯電話に専用ソフトを設定した「おサイフケータイ」を、読み取り機にかざして利用する支払い方法を指す。
 電子マネーの利点を理解するには、現金やクレジットカードと比較するとわかりやすい。表Aにその違いをまとめた。
 他の決済手段と比べて最も優位なのは、支払時の手間を大幅に減らせる点だ。現金で支払う場合、お札や小銭を手渡し、お釣りを受け取る必要がある。クレジットカードは原則、署名や暗証番号の入力といった本人確認の手続きが必要だ。一方、電子マネーは専用の端末にかざすだけですむ。
ポイントの利点
 利用金額に応じてポイントが付くのも利点だ。ポイントは電子マネーや他社のポイントなどに交換できる。うまく使えば家計の節約にも役立つ。
 電子マネー事業は鉄道会社や総合スーパー、クレジットカード会社などを中心に、多くの企業や団体が取り扱い、種類は豊富。利用できる店や場面も電子マネーごとに異なる。理解しやすくするために、電子マネーの種類を整理してみた。
 実際の店舗などで利用されている電子マネーは2種類に分けられる。利用前にまとまった金額をチャージ(入金)する「前払い式」と、一定期間の利用額を後日まとめて特定のクレジットカードで決済する「後払い式」だ。このほか、主にインターネットのサイトでの支払いに使われる「サーバー型」もあるが、一般的に認知されているのは前払い式と後払い式だ。
 全国で利用できる主な電子マネーの概要を表Bにまとめた。前払い式は運営会社ごとに「流通系」や「交通系」「独立系」に分類できる。当初は交通系なら鉄道の乗車時に、流通系なら総合スーパーなどにと、用途は限られていた。
 現在はコンビニエンスストアや家電量販店、ファストフード店などを中心に、グループ以外の企業でも幅広く利用できる。実際に利用可能な店舗は電子マネーごとに決まっている。運営会社のサイトで確認したり、店舗にあるマークで見分けたりするとよいだろう。
 前払い式と後払い式にはそれぞれ、利用上の制限がある。前払い式は1回の支払いで利用できる金額に上限がある。少額の買い物での利用を想定し、あらかじめチャージしておける限度額が決まっているからだ。
 後払い式はクレジットカードの利用を前提としているものがほとんどで、大半は18歳未満や高校生は利用できない。クレジットカードの与信枠の制約もあり、一定期間に利用できる総額も限られる。一定額を超えると署名や暗証番号の入力などが必要な種類もある。
支出の把握重要
 日常的に利用する電子マネーを選ぶ際は、こうした特徴に加え、日ごろの自分の行動を踏まえる必要がある。ファイナンシャルプランナーの中村宏さんは「通勤経路や頻繁に買い物をする店などを考慮して、利用しやすい種類を選ぶとよい」と助言する。
 電子マネーは手軽に使える半面、つい使いすぎてしまう短所もある。前払い式には残高が少なくなると、自動的に特定のクレジットカードなどからチャージする「オートチャージ」という機能を利用できるものがある。この機能は便利だが、使った金額が分かりにくくなりがちだ。
 「電子マネーをいくら使ったか記録するなど、支出の把握が家計管理の面で重要」(中村さん)になる。複数の電子マネーを併用すると、その分、家計管理が難しくなりやすいことにも注意したい。

2011年5月15日日曜日

住宅購入と賃貸で違いは?――保険の必要保障額に差

ファイナンシャルプランナー 和泉昭子氏
 同い年の妻から「30歳になったら新築住宅を買いたい」と要望されています。私自身は転勤が多いので賃貸でよいと考えています。住宅を買わない場合、どんな不利益がありうるのか教えてください。(神奈川県、29歳、男性)
 賃貸住宅と持ち家はそれぞれ長所と短所があり、どちらが優れているか一概には言えません(表)。持ち家の場合、一般的に保有資産の大半が住宅=国内不動産となります。せっかく金融資産を複数の通貨に分散しても、自然災害の多い日本ではリスク分散が十分とはいえません。
 一方、住宅を買わないことで生じるリスクは主に2つあります。1つは持ち家の場合と比べ、老後資金を多めに準備する必要があることです。持ち家だと定年退職までに住宅ローンを完済すれば老後の負担はなくなりますが、賃貸住宅では定年退職後も家賃を払い続ける必要があります。
 毎月の負担額が同じでも、住宅ローンを返済するよりも貯蓄する方が難しいともいわれます。ローンの返済は精神的重圧も大きいのですが、他の支出を抑えようとする節約意識も高まります。一方、貯蓄の場合は強制力がなく、家計管理が甘くなりがちです。
 もう1つは生命保険の必要死亡保障額が膨らむ点です。必要死亡保障額は、家計を支える世帯主が死亡した際に遺族が生活に困らないために必要な金額と、預貯金や年金など遺族が受け取れる金額の差です。不足額が生じると予想される場合は、生命保険などで補う必要があります。
 持ち家で住宅ローンを組んでいるケースでは、一般的に、死亡などでローンが返せなくなった場合に残りのローンが完済される「団体信用生命保険」に加入するので、別に生命保険で手当てすべき額が少なくなります。
 必要死亡保障額は条件によって変わりますが、相談者が住宅を買う予定の30歳時点で試算すると、一生賃貸住宅で過ごす場合は約8000万円と、持ち家のケースを約3800万円上回ります。保険料の差額は35年間の総額で約180万円になります。働き手に万一のことがある場合を考えると、計算上は持ち家の方が有利になるようです。
【表】持ち家派と賃貸住宅派のリスクの例   
持ち家派   
○住宅の売買しやすさは他の資産と比べて低く、転勤や収入減に対応しにくい
○資産の多くが国内不動産に偏るため、分散が不十分となる
○購入時に自己資金を拠出するので、一時的に貯蓄が大きく減る
○固定資産税や修繕費など、維持管理費用がかかる
賃貸住宅派   
○家賃を払い続けなければならず、持ち家派よりも老後資金が多く必要になる
○必要死亡保障額が多額になり、世帯主の生命保険料がかさむ
○家賃をいくら支払っても資産は増えない
○家族の増加や相場高騰などで、家賃負担が増える場合がある

プロの年金運用、個人に役立つ、ヒント探そう――身の丈に合わせて…。

 長期で安定的にお金を増やすことが狙いの公的年金や企業年金。その手法には、お金の運用のセオリーといえるものが多く含まれている。自分の運用のヒントになるものがないか、探してみよう。
 「年金は成績の悪いときだけ国会で批判されたりするので、運用が下手なイメージがある。しかし実際には着実に資産を増やしている」(みずほ証券の瀬川剛エクイティストラテジスト)。プロの間ではこうした声が多い。
分散・配分が大切
 グラフAは公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と、企業年金の元加入者などの資金を運用する企業年金連合会(PFA)の運用成績だ。
 過去15年ほどをみると1990年代後半の金融システム不安、2000年からのITバブル崩壊、07年度からの世界金融危機などが続いた。運用には厳しい時代で、日経平均株価は半値になっている。
 しかし2つの年金の成績は4~5割増。この間の消費者物価はほぼ横ばいなので、実質的にも価値を着実に増やした。個人もやり方次第ではこうした成績が残せたはずだ。どうすればよかったのか。
 経済評論家の山崎元さんは「国内外の株式や債券に幅広く分散投資していた要因が大きい」と話す(資産配分はグラフB)。株式が下落するときは、景気悪化時に価格が上がりやすい債券がカバーするなど、補い合った結果だ。
 世界金融危機の07~08年度には下落しているが、日本株だけの場合より下落率は大幅に低い。分散していると、特定の資産に集中投資している場合に比べて値動きをなだらかにしやすいことがわかる。
 「株式はリスクも高い一方、長期的には高い上昇が見込める」(投資評論家の岡本和久さん)。2つの年金の成績を見ると、株式の比率の高いPFAは累積の伸びがやや大きいが、値動きの変化も大きいことがわかる。個人も自分の年齢や状況に応じて、自分のとれるリスクを考えながら配分を決めたい。
 「外貨建て投資は金利が高いから有利」と単純に思わないことも重要。金利の高い国はインフレ率も高いことが多い。インフレ率が高ければそのお金で買えるモノが減り、価値が下がる。「為替は2つの国の通貨の交換価値なので、長期的には高金利=高インフレ国の通貨は下落するのがセオリー」(龍谷大学の竹中正治教授)だ。
 このため「長期的な成績の見通しは、国内債券も外国債券も同じと考えるのが基本」(企業年金にコンサルタントをしている格付投資情報センターの川村孝之フェロー)。GPIFも「短期金利の差は、長期では外貨の為替下落で相殺されると想定している」(陣場隆・調査室副室長)。
 グラフCで見ると過去30年の国内債券と外国債券の成績はほぼトントン。この間ずっと外国債券の方が金利が高かったが、ときどき大幅な円高が起こり外国債券の成績が下落した結果だ。どちらが有利かは時期によるとしかいえない。
 様々な資産の値動きの予測は困難なので、外貨建て資産を一部持つことは重要。しかし「高金利=有利」と決め込んで過度に比率を高めることには注意したい。
 相場観に頼りすぎず機械的にリバランス(当初決めた資産ごとの配分の比率に戻すこと)することも年金運用の基本。例えば株価の下落が続いて最初に想定した株式の比率が下がりすぎた場合、債券を減らして株を買い、元の比率に戻すことだ。
 野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザーの山口登さんは01年当時、JTBの企業年金の常務理事。9月11日の米国での同時テロで株価が暴落、株の比率が当初の想定より大きく下がった。
 本来はリバランスで株を買い増す局面だったが「戦争になるかも」とためらった。「しかし、やはりルールは守るべきだ」と株を買い増したのが9月20日。01年は翌21日を底にして株価は回復し、結果的にリバランスは成功だった。
 金融危機の07~08年度の株の暴落時も多くの企業年金が悩んだ。「きちんとリバランスを実施して株の比率を戻した」(PFAの浜口大輔理事)という年金もあったが、かなりの企業年金が、先行きの不透明さから株の比率を戻すことを先送りした。「そういう年金は、09年度の株価の回復局面についていけなかった」(川村さん)
インデックス型を
 リバランスは本来、当初の値動きの変動率(リスク)を維持するのが狙いで、必ず成績が向上するわけではない。ただし長期ではリターンも高まることが多かった(グラフD)。「下げた資産はいずれ上がる」ことが起きがちだからだ。頻繁ではなく定期的に1~3年に1度くらい実施する方が効果が高かった。
 個人は、運用者の腕で市場平均を上回ることを目指すアクティブ運用に目を引かれがち。しかしGPIFでは運用資産の約8割が、株価など様々な指数に連動することを目指すインデックス運用だ。「アクティブ運用で継続的に市場平均を上回ることは容易ではない」(GPIF)として、コストが安いインデックス運用を中心にしている。
 企業年金にはアクティブ運用が過半のところも多いが、これは規模が大きいためアクティブ運用のコストを比較的低くできる事情もある。山崎さんは「個人が買えるアクティブ投信の手数料はかなり割高。個人はインデックス投信主体の方がいい」と話す。
 また、多くの年金は新興国の株式の比率を過度に高めていない。変動が激しいことだけが要因ではなく「成長期待が大きい銘柄はすでに割高になっていることが多く、高いリターンが得られるとは限らない」(岡本さん)からだ。
 一般的な企業年金では新興国を組み入れていないことも多く、組み入れる場合も「世界の時価総額に占める比率と同じ15%程度に抑えるのが一般的」(川村さん)。ただし、個人でも若くてリスクが取れる場合は、比率を多めにするという選択肢はある。
 もちろん、年金の手法がすべて正しいわけでもなく、外国債券の収益率を国内債券より高く見積もる企業年金もあるなど、考え方も完全に一律ではない。個人は自分の考えや状況にあう手法を選び、ヒントにしたい。

2011年5月10日火曜日

公共料金節約の基本――手間は少し、毎月の負担軽く

口座引き落とし
一括で先払い 
省エネ先行投資
 新年度が始まって1カ月。転居や転勤で環境が変わったり、生活習慣を見直そうと考えたりする人も多いだろう。電気や都市ガス、水道など暮らしに欠かせない公共料金の請求書が届いたら中身を確認してみよう。思ったより金額が高い場合でも、少し手間をかければ毎月の負担は軽くできる。
 公共料金の負担を軽くする、最も手軽な方法は料金の支払い方の変更だ。
「割引」上手に活用
 東京電力や関西電力、東京都水道局などは口座引き落としで料金を払うと毎月50円程度を割り引く。請求書による窓口払いと違い、払い忘れて延滞金が発生することもない。
 クレジットカードのポイントをためている人はカード払いにする手もある。カードによって差はあるが、月に2万円を払った場合、ポイントの価値が200円程度になる場合もある。支払いを1枚のカードに集約すれば金額を管理しやすくポイントもたまりやすい。
 NHKの受信料(衛星契約)は2カ月ずつの支払いなら年2万7480円だが、12カ月分を一括で先払いすると2万5520円となり、1960円(7%)安くなる。まとまった金額を払うのは痛いが、払い続けるなら使わない手はない。
 都内に住む主婦(36)は4月に一括払いに変更した。「もっと早く知っていたら」と悔しがる。NHKによると契約者の44・5%が2カ月ずつの支払い(2009年度末)。先払いによる割引は国民年金の保険料や生命保険の商品にも広く用意されている。
 支払い方法の変更のほかにも、電気やガスなどの使用量を減らす方策も考えたい。電気やガスの料金は基本料と使用量に比例する従量料金の合算で決まる。無駄遣いしないに越したことはないが、いつも使用量を気にしているのも疲れてしまう。余裕があれば、従量料金を下げるための「先行投資」をしてもいい。
 節約アドバイザーの和田由貴さんは最近、自宅の廊下など白熱電球だった照明をすべてLED電球に切り替えた。「生活習慣を変えることなく電気代が下がる。長い目で見れば損にはならない」と言い切る。
 最近売れ筋のエアコンには10年前の機種に比べ年間1万円程度、電気代が安くなる機種が珍しくない。購入時の費用が5万円なら5年で「投資回収」となる計算だ。早めに切り替えればそれだけ料金が抑えられ、節電にも役立つ。テレビや冷蔵庫なども、環境省のサイト「しんきゅうさん」などで手軽に電気代の削減効果を調べられる。
 ガス製品にも省エネ型が登場している。東京ガスや大阪ガスは省エネ型のガス給湯器を導入すると、通常型の料金から毎月3~5%が割引になる料金プランに移行できる。東京ガスのサイトのシミュレーションでは東京23区の戸建て住宅の場合、ガスの使用量削減効果と合わせて、通常に比べ年間約1万1000円の節約になるという。
契約の見直しも
 家庭環境や住居が変わった人などは契約そのものを見直すことも選択肢になる。東京電力の場合、同時に使える電力の大きさである「契約アンペア」で基本料が変わる。最近のマンションなどは50アンペア以上の契約をしている場合もあるが、少人数の家庭なら契約アンペアを引き下げても支障がないこともある。60アンペアから30アンペアに下げると基本料は月819円下がる。
 電気代などの節約というと、こまめに照明を消したりといった作業に意識が向かいがち。和田さんは「一度の手間で効果が続く節約法は効率が良い」と話す。資源の無駄遣いは良くないが、たまには節約を忘れて楽しむメリハリも必要だ。賢い節約で財布も心も豊かにしたい。(長岡良幸)
たくさん使うと単価に変化
電気・水道は割高/ガスは割安
 電気やガスの料金は基本料と使った量で決まるが、従量料金は完全に使用量に比例しているわけではない。東京電力の場合は使用量に応じて従量部分の単価が3段階に分かれている。料金明細の従量部分が「第1段階料金」「第2段階料金」などとあるのは単価ごとの料金を分けて表示しているためだ。
 東京電力では通常、第1段階の単価(1キロワット時あたり)は17円87銭で月120キロワット時までの分が適用される。第2段階は300キロワット時までで22円86銭、300キロワット超の部分は24円13銭となる。大量に使った分を割高にすることで節制を促しているともいえる。
 水道料金も同様の仕組みを取り入れている。東京23区で口径が13~25ミリの場合、5立方メートルまでは従量部分は無料。10立方メートルまでが1立方メートルあたり22円、それを超えると128円にはね上がるなど単価は上昇する。
 一方、東京ガスの基本料金は1カ月の使用量に応じて変化する。東京地区の20立方メートルまでの基本料金は724円50銭だが、その後80立方メートルまでは1081円50銭、200立方メートルまでは1333円50銭と使用量に応じて増える。逆に従量料金の基準単価は使用量が20立方メートルまでが144円83銭、80立方メートルまでが126円98銭、200立方メートルまでが123円83銭と下がる。
 電気やガスの料金には原油や液化天然ガス(LNG)などの価格を反映する仕組みもある。料金明細に「燃料費調整額」などと書かれているものだ。最近は原料価格の上昇を背景に、多くの電気・ガス事業者で実質的な値上げが続いている。

2011年5月8日日曜日

権利証紛失、不正防止の届出を

 東日本大震災では津波による家屋滅失に伴い不動産所有を示す「権利証」を紛失した人が多い。避難の留守中に盗まれた人もいるとみられる。
 権利証は正式には登記済証または登記識別情報通知書という。不動産を購入し、所有権を登記した後に登記所(法務局)から所有者に交付される書類だ。所持する人が所有者本人とされ、不動産を売却する際などに必要だ。ただ、「理由を問わず、再発行はできない」(法務省)。紛失した場合、どうすればいいか。
 まず、所有者になりすました不正な売買や登記を防ぐため、所有者が登記所に不正登記防止の申し出をする。こうしておけば申し出から通常3カ月以内に本人の身に覚えのない登記申請などがあれば、本人に通知され、不正を防止できる。
 「権利証の目的は本人確認」(法務省)である点に着目し、権利証に代わる本人確認情報などを作成してもらう手もある。これができるのは登記申請を代理する司法書士や弁護士だ。このほか事前通知制度という確認手段もあるので、登記所などに相談しよう。

積立貯蓄のコツは?――まず預貯金100万円目指す

ファイナンシャルプランナー 目黒政明氏
 社会人3年目の会社員です。稼いだ給料は旅行や趣味に使ってしまい、ほとんど残っていません。結婚などの予定はありませんが、将来に備えて貯蓄を始めようと考えています。積み立てのコツを教えてください。(東京都の20代男性)
 毎月1万円でも、2万円でも10年、20年と長期にわたって積み立てを継続すれば、将来には数百万円という金額になります。長く続けるために、月々どれだけ積み立てられるか調べましょう。まず、家賃や水道・光熱費、携帯電話代など削ることが難しい月々の固定支出を洗い出します。そのうえで、毎月とボーナス時に無理なく貯蓄に回せる額がどの程度あるかを見極めます。
 当面は急な病気やけが、失業などに備えるためにも、元本保証でいつでも解約できる預貯金100万円の積み立てを目指します。給与振込口座のある銀行で、積立定期預金を始めるのがおすすめです。どこの銀行で積み立ててもあまり違いはないので、預け先の比較検討に時間を費やさず、すぐに積み立てを始めることが肝心です。勤務先に財形貯蓄制度があれば、こちらを利用する手もあります。
 ただし現在は、超低金利の経済環境が続いており、定期預金や財形貯蓄では利息が少ししか付きません。そこで、元本保証がない代わりに、預貯金に比べて高い利回りの見込める金融商品を一部採り入れます。
 具体的には、日経平均株価などの指数に連動するインデックス投資信託がおすすめです。購入や保有にかかる手数料が比較的安く、ネット証券では1000円以上1円単位での積み立てが可能です。
 相談者はまだ若いので、債券に比べて高い収益の見込める株式型を選びましょう。全体の配分は定期預金7割、インデックス投信3割(日本株、先進国株、新興国株各1割)程度とします。
 また、積み立てているお金はないものと思って生活し、安易に取り崩さないようにしましょう。銀行の総合口座には、定期預金を担保にした借り入れ機能もありますが、友人の結婚式へのお祝いが続くなどやむを得ない場合を除けば、利用はなるべく控えるのが賢明です。

国の住宅購入支援策、年内終了・縮小多く注意――震災で緊急支援策。

建物流失してもローン減税継続
 東日本大震災の被災者や被災企業向けに政府がまとめた「緊急支援税制」には、住宅関連の項目も盛り込まれた。
 住宅ローン減税や贈与税の非課税特例は本来の「居住要件」を免除。津波で押し流されるなど住めなくなった状態でも、減税の適用を継続する。贈与税の非課税特例を使って取得した住宅に住めなくなった場合も、贈与税は課さない。また、居住開始などの期限も1年間延ばした。
 住宅や家財の損害額を「雑損控除」として、所得から差し引ける所得税や住民税の減税措置は地震の起きた11年ではなく、10年分の所得から控除できるようにした。損害額が大きく、1年では引ききれない場合の繰越期間も現行の3年から5年に延長した。

国の住宅購入支援策、年内終了・縮小多く注意――フラット35S、エコポイント

フラット35S 予算枠の確認を
エコポイント 年内着工が条件
ローン減税 年内入居、10年で400万円控除
 人生最大の買い物である住宅。家具や家電の購入などを含めると景気へのプラス効果が大きいことから、国は様々な購入支援策を打ち出している。ただ、ローン金利の引き下げや住宅ローン減税といった優遇は、現状では2011年末で期限が切れたり、縮小したりするものが多い。支援策の中身や利用する際の注意点などをまとめた。
「今年は買い時」
 「不動産市況は一時の高値に比べると落ち着いている。もろもろの支援策を考慮すれば、今年は買い時といえる」。こう話すのは、ファイナンシャルプランナー(FP)で「住まいと保険と資産管理」(東京・千代田)営業本部長の飯田敏さんだ。
 表Aに11年で終わる予定の主な住宅購入支援策をまとめた。利用条件は「入居」「着工」などそれぞれ異なるので、ポイントを確認しよう。
 【フラット35S】 35年固定金利の住宅ローン「フラット35」の当初10年間の金利を、借入金利から年1%引き下げるのが「フラット35S」。耐震性や省エネ性、バリアフリー性などいずれかの性能を満たすと適用される。最近では、大手デベロッパーの分譲マンションやハウスメーカーの戸建て住宅の多くが条件を満たしている。
 借入額4000万円、金利2・9%で簡単に試算したところ、「フラット35S」の方が、通常の「フラット35」より425万円も利息負担が少なくて済む(表B)。FPの豊田真弓さんは「固定金利志向の人にとっては特に魅力が大きい」と話す。
 11年末までに申し込みを済ませれば12年以降に完成する物件でも利用できるが、国の予算がなくなれば前倒しで終了する。また、使えるのは購入時のみで、借り換えには使えない。金利水準や手数料は申し込む金融機関によって異なるので、条件を比較する作業も欠かせない。
 さらに借り入れから11年目以降、20年目まで年0・3%金利を引き下げるタイプもあるが、「求められる住宅性能が10年タイプよりも高くなる分、建築コストがかさみ、設計の自由度も狭まる」(飯田さん)という。
 【住宅エコポイント】 断熱サッシや断熱壁、省エネ機器の採用など、一定の省エネ基準を満たした住宅を対象にポイントを付与する。リフォーム工事も対象。ポイント獲得は11年中の着工が条件となる。
 付与ポイントは、新築住宅で1戸あたり30万ポイント、太陽熱利用システムを設置した場合は2万ポイント上乗せして32万ポイントとなる。ポイントは1ポイント1円で商品券などと交換できるほか、追加工事の費用にそのまま充当することもできる。
 【贈与税の非課税特例】 住宅取得のための資金を直系の父母や祖父母から贈与された場合、贈与税が1千万円まで無税になる。基礎控除枠の110万円と合わせると1110万円まで非課税だ。特例の適用を受けるには、11年中に贈与を受け、12年3月15日までに住宅を取得、同年中に入居するのが条件。税務署への申告も必要になる。
 年内に贈与を受けても、完成時期が間に合わなければ高率の贈与税がかかってくることになる。ただ、税理士の村岡清樹さんは「特例が使えなくなっても、贈与額に応じた持ち分を親名義で登記することで、課税措置は回避できる」と指摘する。そのうえで、「兄弟がいる場合は後々の相続でもめないよう、遺言を残してもらうなど対策が必要になる」と付け加える。
 【住宅ローン減税】 原則、毎年末のローン残高の1%に当たる額を所得税から控除できる。一般住宅の場合、11年中の入居なら10年間で最大400万円の控除が受けられるが、12年入居では300万円に減る(表C)。一般住宅よりも耐震性や劣化対策、維持管理のしやすさなどで厳しい基準を満たした「長期優良住宅」なら、11年中の最大控除額は600万円だが、12年には400万円に下がる。
 とはいえ、「減税の恩恵をフルに受けられるのは、毎年末、最大控除額に見合ったローン残高がある人だけ」(村岡さん)。減税分は本来支払うべき税額から差し引く仕組み(税額控除)で、もともとの納税額が少なければ、控除はその範囲内にとどまる。
無理ない予算で
 フラット35と住宅エコポイントの申請には建物が基準に適合することを示す第三者機関の証明書が必要で、発行には手数料がかかる。各支援策の利用には建物の床面積や築年数などの要件があるので、築25年以上の中古マンションを買う人などは、事前によく確認しよう。
 豊田さんは「子どもがいる家庭は教育費を並行して積み立てられるかなど、現在の生活水準、毎月の貯金額などから逆算して無理のない購入予算を決めるべきだ。借りられる額と無理なく返せる額は違う」と強調する。飯田さんも、将来の住み替えを前提にマンション購入を考えている場合は、「立地条件によってマンションは資産価値の下落が戸建てよりも激しくなりやすいので注意が必要」とアドバイスしている。

2011年5月1日日曜日

通貨選択型投信、新顔相次ぐ

 通貨選択型と呼ばれる投資信託で新しいタイプが相次ぎ登場している。従来は、低格付け債(ハイ・イールド債)や新興国債券に投資するものが主流だったが、最近は国内外の株式や不動産投資信託(REIT)などに広がっている。
 4月に設定された通貨選択型投信は、債券や株価指数などの先物に投資する「ノムラ・グローバルトレンド」と、日本株に投資する「日本株厳選ファンド」。5月には、世界の公益企業株を対象にした「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」の通貨選択版が登場する。
 一般に通貨選択型投信は、債券や株式などの運用益に高金利通貨の金利収入などを上乗せすることで収益向上を狙っている。しかし、高金利通貨とされるブラジルレアルや豪ドルなどは、為替変動リスクが大きく、購入時よりも円高が進むと損失が膨らむ恐れがある。
 先物や外国株などは単独でも価格変動リスクが高く、通貨選択型になることで一段と値動きが読みにくくなる。投資する際はリスクの程度を十分に確認する必要がある。

義援金、寄付金控除の対象?――一部、ふるさと納税扱いも

税理士 柴原一氏
 東日本大震災の被災地を支援するため、義援金を出したいと思います。寄付金控除の対象になりますか。また、寄付の方法によって違いはありますか。(兵庫県、30歳、男性)
 寄付金控除は、所得税と住民税とで控除の対象になる寄付金の種類が違い、複雑な仕組みです。控除する金額の計算方法も、所得税は原則、課税対象所得を減らす「所得控除」なのに対して、住民税は納める税金を直接減らす「税額控除」。所得税と住民税を合計した寄付金控除枠が最も大きいのは、地方自治体に直接寄付する「ふるさと納税」です。寄付金控除を利用するには確定申告が必要です。
 今回の大震災では、義援金の寄付先によっては、ふるさと納税と同じ方法で控除枠を計算でき、通常より減税額が大きくなることがあります。
 東日本大震災の義援金の寄付金控除枠がふるさと納税と同じになるのは、地方自治体に直接寄付するほか、主に日本赤十字社と中央共同募金会の義援金受付窓口に寄付する場合です。両団体への寄付は、通常はふるさと納税より控除枠が小さいのですが、今回は枠が拡大しています。
 控除の手続きでは寄付先の領収書や証明書が必要ですが、今回は正式な領収書がなくても、両団体の義援金受付口座あての振り込みの控えを寄付金控除の証明書として使えます。控えに寄付先が書いてあることを確認しましょう。
 寄付金控除でどれくらい税金が減るかは、寄付額のほか、寄付する人の年収によって違います。年収500万円の会社員が5万円寄付する場合を大まかに計算すると、ふるさと納税扱いの寄付金控除では合計で2万2000円弱、税金を減らせます。年収2000万円の会社員では減税額は約4万6000円です。
 ただ、義援金以外は所得税の寄付金控除しか使えない場合が多いのが現状です。中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」も義援金と違って住民税の寄付金控除は使えません。一部の特定非営利活動法人(NPO法人)などの活動を支援する寄付は、東日本大震災の特例として寄付金の所得控除の限度額が広がるほか、所得税の税額控除の方法も選べるようになりました。中央共同募金会のNPO活動支援の募金も対象です。

相場急落に備え株取引のリスク管理――自動売買ツール賢く使う、長期保有でも有効

設定価格超えたら売買
 東日本大震災後、株式相場が急落して損失を被った投資家も多いだろう。一般投資家は一日中相場を見ているわけにもいかず、売却するタイミングが遅れることもある。こうした相場の急変に対処するため、あらかじめ条件を設定し、値動きに応じて自動的に売買を執行する方法を使えば一定のリスク管理は可能だ。証券会社が設けている自動売買ツールの種類やその活用法を点検する。
 外国為替証拠金取引(FX)では、含み損が一定額を超えた場合に自動的に反対売買して損失を確定する「ロスカット」機能が一般的だ。株式売買でも同様のしくみがある。
 株式の自動売買ツールはインターネット証券各社で違いがあるが、「基本は逆指し値を使うこと」(ファイナンシャルプランナーの横山利香さん)。一般的な株式の売買では、銘柄と数量だけ指定して値段は指定しない「成り行き注文」と、あらかじめ値段を指定して「何円以上で売り」あるいは「何円以下で買い」といった注文を出す「指し値注文」がある。
 逆指し値は指し値とは逆に、「何円以下になったら売る」あるいは「何円以上になったら買う」という注文方法。特に、保有する株式の価格が想定を超えて下落したとき、株を売却して損失を確定する「損切り」に便利な機能だ。自動売買ツールは設定した段階では手数料はかからず、約定した時に所定の売買手数料がかかる。
逆指し値を設定
 自動売買ツールは、数日から数カ月程度で売買するような、比較的短期で取引をする投資家が利用するように思われがちだが、ネット証券各社は「長期保有目的の投資家も利用したほうがいい」と口をそろえる。
 例えば、株価の変動が小さく、景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄の代表格といわれてきた東京電力株。福島第1原子力発電所の事故後、3週間ほどで株価は震災前の5分1程度まで急落した(グラフ)。配当狙いで長期保有する個人投資家が多かったが、今では多額の含み損を抱えたまま売るに売れないという人も多い。
 こうしたときに備えて、仮に「株価が1500円を下回ったら売る」といったふうに逆指し値の設定をしていたら、株価がここまで下落する前に売却できていた可能性が高い。
 もちろん、逆指し値を設定したからといって希望する価格で売却できるとは限らない。中堅・新興企業など株式市場での取引の少ない銘柄は、注文を出しても買い手が現れない可能性がある。東京電力株のように通常は市場での取引量が多い銘柄でも、注文が殺到してストップ安になった場合などは、注文の多くが約定せずに残ることもある。
 自動売買の場合、ストップ安になったときでも、少しでも早く注文が出せるので約定する可能性は高くなる。大量の注文が残ったままその日の取引時間が終わった場合、その時点の注文数に応じて証券会社ごとに売買が配分され、売買割り当てを受けた証券会社は先着順で投資家に割り当てをすることが多いからだ。
 マネックス証券では、市場で売買が成立した「約定値」だけではなく、売り注文に対して買い注文が極端に少ない時など、すぐに売買が成立しないときに出る「特別気配」でも逆指し値注文が執行される。損切りの注文をできるだけ早く出したい人には便利な機能だろう。
2つの注文同時に
 損切りだけでなく、株価が上昇した時には利益確定もしたいという場合は、2つの注文を同時に出す機能もある。「W指値」(カブドットコム証券)、「逆指値付通常注文」(楽天証券)など、証券会社によって名称は違うが、株価が一定価格以上に上昇した時の売り注文と、逆に一定価格以下に下落した時の逆指し値注文を同時に出せる機能だ。カブコムではさらに、株価が上昇するにつれて、逆指し値の価格を自動的に引き上げ、損失確定の価格水準を高くする「トレーリングストップ」という機能もある。
 自動売買ツールを利用する場合は、「注文が失効していないかどうか、注文状況を定期的に確認した方がいい」(横山さん)。注文の有効期間は数日から1カ月程度と、証券会社によって異なるので注意しよう。また、FPの藤川太さんは「株価が下落しているときに、弱気になって逆指し値の価格を引き下げるのはやめるべきだ」と指摘する。含み損が膨らんでくると冷静な判断ができなくなり、当初想定した以上に損失が拡大してしまうことになりかねないためだ。
 自動売買ツールは、個別株のほか、上場投資信託(ETF)や先物、オプション取引などで使える。東日本大震災後の3月14~15日に日経平均株価が急落した際、オプション取引で多額の損失を出した個人投資家が相次いだ。「逆指し値を使わずに放置した人が多かった」(カブドットコム証券の臼田琢美執行役)ためという。先物やオプションなどは、証拠金の数十倍に損失が拡大することもあるので、逆指し値で早めに損切りできるようにしておくことが欠かせない。
 自動売買ツールとは異なるが、個別銘柄の株価や日経平均などの指数が一定水準に達するとメールで通知するサービスもある。カブコムの「カブコール」は、株式のほか一般の投資信託も対象だ。自動売買ツールのように機動的に売買注文を出すことはできないが、保有する投信などが一定水準を超えて値下がりする場合などに備えて設定しておけば、いざというときのリスク管理に役立つだろう。