2011年5月28日土曜日

複数の預金口座、賢く使う――利便性・金利などで分散

 東日本大震災やみずほ銀行の大規模システム障害などで、安全だと思われている預金口座であっても、すぐに現金を下ろせない経験をした人は多いだろう。いざというときに慌てずに済むように、複数の預金口座を使いこなす方法を考えてみよう。
 「大震災をきっかけに、すぐに預金を下ろせることがどれだけ便利かということに気付いた」。東京都の会社員、橋野秀一さん(仮名、36)はこう振り返る。橋野さんは妻と子供の3人家族。大震災の直後、家計のすべてを預けていたみずほ銀行のATMから現金を下ろせなくなり、慌てたという。
 万一の場合、1つの銀行口座だけにお金を預けるのはリスクが大きい。ファイナンシャルプランナー(FP)の坂本綾子さんは「今後もシステムダウンの可能性を織り込んで金融機関とつきあうべきだ」と話す。
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 銀行の預金口座は、仮に銀行が破綻してもペイオフの範囲である元本1000万円とその利息までは保護される。ただ、1つの銀行に集中して預けるのは避けたい。「複数の銀行口座を持てば、1つの金融機関がシステムダウンしても、別の銀行口座のお金を下ろせる」と坂本さんは指摘する。
 どんな銀行に分散して預けるといいのか。まず最も頻繁に取引するメーンバンク。これは給与振込や公共料金の引き落としに使っている口座にする。メガバンクや地方銀行が一般的だ。
 サブ口座も作っておきたい。預け先として坂本さんが提案するのは休眠口座の利用だ。昔は給与受取口座として使っていたが、今は残高がほとんどないような口座を使えば、新たに口座を開設する必要もない。
 サブ口座として向いているのが、ゆうちょ銀行とネット銀行だ。「ゆうちょ銀は全国に約2万6000台のATMがあり、日本全国で利用できる」(坂本さん)。災害時に住まいを一時的に移しても現金を下ろしやすいうえ、ゆうちょ銀の総合口座利用者ならATMの引き出し手数料が無料だ。
 このゆうちょ銀と相性が良いのがネット銀だ。図Aのように、ゆうちょ銀のATMからネット銀行口座の預金を引き出すときの手数料が無料というケースが多い。ネット銀の金利の高い定期預金を活用しながら、ゆうちょ銀のATMを使うという合わせ技を身につけたい。「3つの銀行に預金口座を持ち、サブ口座にはそれぞれ30万円ほど預けておけば、当面の交通費や緊急の医療費として使える」(坂本さん)
 災害のときだけでなく、運用先の相場急変などの緊急時にも換金性は大切だ。FPの花輪陽子さんは、銀行の分散に加え、証券口座を使ったマネー・リザーブ・ファンド(MRF)の利用を紹介している。
 MRFは主に公社債で運用する投資信託。証券会社は手数料無料で顧客口座の余裕資金をMRFで自動的に運用している。毎日自由に引き出せるので、普通預金と変わらない感覚で使える。
 現在のMRFの利回りは約0・08%(野村MRFの7日間平均、年換算)。元本保証でない分、銀行の普通預金金利よりも高い。余裕資金を預ければ株式などに機動的に追加投資でき、収益機会も逃さずにすむ。
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 MRFを解約して現金を下ろすときは、提携金融機関やコンビニのATMも利用できる。「換金性を第一に考えれば、近所のコンビニなどで出金できることは大切」(花輪さん)。野村証券や大和証券、マネックス証券のMRFでは、セブンイレブンにあるセブン銀行のATMから基本的に手数料が無料で出金できる。証券会社によって提携先の銀行やコンビニ、手数料が違うのでチェックしておきたい。
 複数の金融機関口座を持つと、どの口座にいくら預けているかをまとめて把握するのに困るだろう。ネット銀行などのパスワード管理が面倒という人もいる。花輪さんは「ネット上のサーバーにデータを保存するというクラウドサービスを、口座管理にも導入すると便利」とアドバイスする。花輪さんが注目しているのはマネールック(https://www.moneylook.jp)という無料の口座一元管理サービスだ。
 登録できる金融機関は700以上に増え、ツイッターやメールからも家計簿などを記録できる。銀行や証券会社などの口座情報を登録しておけば、一度の認証で残高や履歴の一覧表示が可能だ。
 メガバンクでは一定の条件を満たせばコンビニATMの手数料が無料になるサービスもある。今回紹介したのは1つの例なので、いざというときに備えて自分の生活スタイルに合った口座の使い方を調べてみよう。

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