2011年5月15日日曜日

住宅購入と賃貸で違いは?――保険の必要保障額に差

ファイナンシャルプランナー 和泉昭子氏
 同い年の妻から「30歳になったら新築住宅を買いたい」と要望されています。私自身は転勤が多いので賃貸でよいと考えています。住宅を買わない場合、どんな不利益がありうるのか教えてください。(神奈川県、29歳、男性)
 賃貸住宅と持ち家はそれぞれ長所と短所があり、どちらが優れているか一概には言えません(表)。持ち家の場合、一般的に保有資産の大半が住宅=国内不動産となります。せっかく金融資産を複数の通貨に分散しても、自然災害の多い日本ではリスク分散が十分とはいえません。
 一方、住宅を買わないことで生じるリスクは主に2つあります。1つは持ち家の場合と比べ、老後資金を多めに準備する必要があることです。持ち家だと定年退職までに住宅ローンを完済すれば老後の負担はなくなりますが、賃貸住宅では定年退職後も家賃を払い続ける必要があります。
 毎月の負担額が同じでも、住宅ローンを返済するよりも貯蓄する方が難しいともいわれます。ローンの返済は精神的重圧も大きいのですが、他の支出を抑えようとする節約意識も高まります。一方、貯蓄の場合は強制力がなく、家計管理が甘くなりがちです。
 もう1つは生命保険の必要死亡保障額が膨らむ点です。必要死亡保障額は、家計を支える世帯主が死亡した際に遺族が生活に困らないために必要な金額と、預貯金や年金など遺族が受け取れる金額の差です。不足額が生じると予想される場合は、生命保険などで補う必要があります。
 持ち家で住宅ローンを組んでいるケースでは、一般的に、死亡などでローンが返せなくなった場合に残りのローンが完済される「団体信用生命保険」に加入するので、別に生命保険で手当てすべき額が少なくなります。
 必要死亡保障額は条件によって変わりますが、相談者が住宅を買う予定の30歳時点で試算すると、一生賃貸住宅で過ごす場合は約8000万円と、持ち家のケースを約3800万円上回ります。保険料の差額は35年間の総額で約180万円になります。働き手に万一のことがある場合を考えると、計算上は持ち家の方が有利になるようです。
【表】持ち家派と賃貸住宅派のリスクの例   
持ち家派   
○住宅の売買しやすさは他の資産と比べて低く、転勤や収入減に対応しにくい
○資産の多くが国内不動産に偏るため、分散が不十分となる
○購入時に自己資金を拠出するので、一時的に貯蓄が大きく減る
○固定資産税や修繕費など、維持管理費用がかかる
賃貸住宅派   
○家賃を払い続けなければならず、持ち家派よりも老後資金が多く必要になる
○必要死亡保障額が多額になり、世帯主の生命保険料がかさむ
○家賃をいくら支払っても資産は増えない
○家族の増加や相場高騰などで、家賃負担が増える場合がある

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