「定期便」より質量とも充実
自分の年金記録が容易にわかるよう、日本年金機構はインターネットによる公的年金記録の確認サービス「ねんきんネット」を始めた。年金は制度が複雑なため、受給額などがわかりにくい。新サービスをうまく活用すれば、自分の年金への理解が進みそうだ。加入者に郵送される「ねんきん定期便」との違いを踏まえ、最低限チェックしたいポイントをまとめた。
日本年金機構が2月末から始めた公的年金加入者へのインターネットサービスは「ねんきんネット」という。提供する年金記録などの情報を表Aにまとめた。これらは「ねんきん定期便」でも基本的に確認できるが、ネットの方が情報が新しく、かつ量も多い。
パスワードも簡単
ねんきんネットの特徴を具体的に示そう。まず、加入開始時から直近(原則約1カ月前)までの自分の加入記録全てを、必要なときにいつでも確認できる。
ねんきん定期便は加入者の毎年の誕生日前に一度送付されるだけだ。しかも記録は2010年度分から、35歳、45歳、58歳以外の加入者には、誕生月の直近1年間分に限定されている。「加入以来の記録が掲載された09年度の定期便を保存していないと、これまでの記録全体がわからない」(社会保険労務士の大園要さん)という問題点がある。
ねんきんネットはこれまで加入した制度の情報などを月単位で確認できる。
公的年金には原則20歳以上60歳未満の人が加入する義務がある「国民年金」と、会社員が国民年金に上乗せして加入する「厚生年金」などの制度がある。
国民年金には加入者の区別がある。自営業者など国民年金だけに加入する人を「第1号被保険者」、会社員は「第2号被保険者」という。第2号被保険者の配偶者(会社員の妻が多い)で20歳以上60歳未満の人は「第3号被保険者」という。ねんきんネットは第1号と第3号の加入月は「国年」、第2号の加入月は「厚年」などと表示する。
制度ごとの加入記録や加入期間の合計についても、ねんきんネットの方が情報が豊富だ。国民年金の保険料の納付状況のほか、厚生年金では勤務先の名称や保険料の計算の基礎となった月給(標準報酬月額)などを、月単位で表示する。
国民年金の未納期間など、注意したい部分は赤色で表示。加入期間の合計も直近までの分を反映する。
インターネット上で年金記録を確認できるサービスは従来もあった。しかし、ID、パスワードの取得に約2週間かかるなど不便だった。その点、ねんきんネットは11年度分の定期便に記載したその人固有のアクセスキーと呼ばれる番号を入力すれば、即時にID、パスワードを取得でき、自分の年金記録に随時アクセスできる。今年度の定期便が届いていない人でもインターネットを通じて登録すれば、5日程度でIDとパスワードを取得できる。
ねんきんネットを中心に、最低限チェックしたい点を表Bにまとめた。
まず国民年金の加入者は未納期間に注意しよう。特に女性の場合は自分の入退社だけでなく、結婚や配偶者の退社などにより、加入者区分が変わることがあるので念入りにしたい。例えば会社員の夫と結婚して専業主婦になると第3号となるが、夫が退職すると、自分が専業主婦のままでも第1号になる。第1号への変更を申請し、保険料を納付しないと未納期間になる。
過去2年間の未納分は保険料を追加で納付(追納)できる。ねんきんネットは追納可能期間を色分け表示しており、わかりやすい。
一部免除には注意
国民年金保険料は所得が少ないなどの事情により、全部または一部が免除されることがある。注意したいのは一部免除の場合。免除されない残りの保険料を納付する必要があるが「忘れる人も多い」(大園さん)からだ。ねんきんネットは納付の必要や追納可能期間もわかりやすく表示する。
年金加入の合計期間も確認しよう。自分が受給資格があるかどうかがわかるからだ。老齢年金は原則として65歳から受給する。65歳で公的年金の加入期間が原則25年以上であれば、国民年金から老齢基礎年金を、厚生年金から老齢厚生年金をそれぞれ受給できる。
同時に確認したいのが合算対象期間(カラ期間という)。これは保険料を納めなくても受給資格期間と認められる期間のことだ。
具体的には夫が厚生年金に加入する会社員の妻は、1961年4月から86年3月までの間で、国民年金に任意に加入できたのに加入しなかった期間(主婦が20歳以上60歳未満だった期間に限る)が合算対象期間とされる。
この期間の有無や月数は、ねんきん定期便でもねんきんネットでも提示しない。ただ、ねんきんネットは合算対象期間の具体例を詳細に示しているので、加入期間の合計が25年未満の人はチェックしよう。
厚生年金の加入者は標準報酬月額にも注意。前月と比較して大幅に変動している場合は、ねんきんネットで色分けして表示される。保険料負担を減らすための意図的な記録改ざんをチェックするためだ。改ざんはあってはならないことだが、念のため確認したい。
年金額の情報では、ねんきん定期便、ねんきんネットともに、50歳を境に試算法が異なる。50歳未満の人は加入実績だけで計算するので年金額が想像以上に少ない。一方、50歳以上の人は、直近の月給が60歳まで続くと仮定した場合の見込み額を記載するため、多めに表示されることもある。
こうした問題点をカバーするため、日本年金機構は実態に即した月給の見込み額を自分で入力することにより、年金額が試算できる機能を10月末をメドに加えることを検討中だ。
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