2013年1月31日木曜日

プロバイダー板挟みに

 誰でも情報を発信できるインターネットでは名誉毀損や誹謗(ひぼう)中傷も飛び交う。プロバイダー業者らは法律上、権利侵害を受けた側からの要請を受けたうえで書き込みなどを削除することができるが、表現や通信の自由との兼ね合いもあり、判断は難しい。
 ネット上の書き込みや投稿を巡っては民間団体「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」が、薬物広告や児童ポルノといった存在自体が違法の「違法情報」などを中心に民間からの通報を受理している。
 一方、名誉毀損などは刑事事件化が難しくIHCの本来の業務対象ではないが、今年半年で通報は723件。過去最高だった2010年の1287件を上回るペースだ。
 ネット上の名誉毀損や著作権侵害など民事上の権利侵害については02年5月施行のプロバイダー責任制限法が、削除要請を受けたプロバイダーやサーバー管理者によって書き込みを削除したり、発信者の情報を開示したりできるよう規定した。
 ただ、プロバイダーなど事業者側はそもそも名誉毀損の有無を法的に最終判断する立場にない。「書き込んだ側にも意見照会をするなどしたうえで、権利侵害が明らかな場合以外は原則、削除しないという立場をとっている」のが実情だ。
 例えば、実体験に基づく飲食店の批評などは判断が難しい。年間百数十件の削除要請を扱うニフティは「権利侵害を軽んじてはいないが、ユーザーに情報発信の場を提供するビジネス。ネット上の表現の自由にかかわる立場でもある」と話す。
 「アメーバブログ」を運営するサイバーエージェントでは個人が日記風に書き込めるという性質もあってか、個人情報や誹謗中傷への削除要請の対象は年間400~500件に達する。うち7~8割は要請に応じ削除するが「判断に悩む場合は削除できない」という。
 事業者側からは「当事者同士の紛争を仲介する立場を期待されているのかもしれないが、現状は法律上の位置付けも限定的で板挟み状態」と本音も漏れる。実際に内部告発を巡る削除要請に応じなかったなどとして訴えられるケースがある。
 総務省は昨年後半、プロバイダー責任制限法施行10年を控え書き込みに関する削除要請の実態調査をしたが、結果は現時点で公表されていない。非公表の理由は「実態の一部しか表しておらず誤解を招くから」(消費者行政課)というものだ。
 回答を得たのは国内プロバイダーなどの一部。ネット掲示板ではサーバーを海外で管理する場合も多い。業界の監督官庁が信頼性のある統計データすらまとめられないところに対策の難しさも浮かぶ。

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