2013年1月31日木曜日

子どものお金見守り術(下)使い道「SOS」で学ぶ



「必要」「ほしい」の区別を
 子どものころに身につけたお金の使い方は、その後の人生に影響する。お年玉をもらい、子どもの心が躍るこの時期は、欲求が膨らんでいるだけに親が見守ることが欠かせない。賢い使い道や貯金の意義を親子で話し合うよい機会でもある。
 「今年のお年玉で何を買ったか覚えている?」。「えーと、何だっけ……」。東京都に住む主婦A子さん(37)は昨年暮れ、9歳の長男の言葉にひどくショックを受けた。クリスマスに祖父母から高価なプレゼントを贈られ、お年玉をもらえばすぐにゲームソフトなどを買いに行くのが当たり前になっている長男。毎年、おもちゃは増えるが飽きるのも早い。
お年玉「貯金」首位
 学研教育総合研究所の「小学生白書」によると、小学生の男子がほしいものは携帯型ゲーム機(ソフトを含む)が34・5%で1位。据え置き型ゲーム(16・7%)とパソコン(9・2%)が続いた。女子は携帯電話(16・5%)がトップで2位以下は男子と同様の商品が並ぶ。
 いずれも高額とはいえ、お年玉で買える子どもは少なくない。だが、お金を使わせる前に親子で考えることは必要だ。千葉商科大大学院の伊藤宏一教授は「お金の使い方を『SOS』に分けて教えてはどうか」と提案する。
 最初のSは「Saving(貯金)」。「小学生白書」によるとお年玉の使い道のトップは男女とも「貯金」だった。親の目が光っていることがうかがえるが、大事なのは強制するのではなく、「本人が納得して貯金をさせること」と伊藤教授は指摘する。
 たとえば、将来の目標を考えさせ、そこに至る道のりを親子で考えてみる。それまでに必要なものや学費のだいたいの金額などを話し合えば、子どもの胸に響くだろう。
 まだ大きな目標を抱きにくいなら、ゲームソフトを数本我慢すれば、いずれもっと高価な買い物ができることを具体的に示すのもよい。子どもは納得すれば5000円の物を買うのは倍の1万円ためてから、などお金の使い方の癖が自然と身につくはずだ。
 次に買い物をさせる前に、ほかの使い方があることを教えるのも、忘れがちだが大切なこと。Oは「Offering」、つまり寄付や人のためにお金を使うことだ。子どもがプレゼントやお年玉を喜んでいる時期なら、ほかの人のためにお金を使う気持ちよさなどを伝えるにはもってこいともいえる。祖父母や友達へのプレゼントを考えさせるのは一案。世の中には困っている人がいることを教えることも時には必要だ。
 最後のSは「Spending(買い物)」。おもちゃやゲーム機の購入はこのSにあたる。その際に親として意識させたいのは「ニーズ(必要なもの)」と「ウォンツ(ほしいもの)」の違いだ。
将来の生活力に
 「お年玉を使うのは1月末以降」「使う前にくれた人に手紙を出す」。手紙にはお礼とともに「本を買いたいと思います」など使い道を記す。子どもの金銭教育を手掛けるファイナンシャルプランナーのいちのせかつみさんは、自分の子どもにこんなルールを守らせていた。肝はお金の使い道を事後報告にさせないことにある。
 舞い上がっていた子どもも1カ月たてば冷静になる。同じおもちゃでも長く遊べそうな物を選ぶ。手紙を書けば感謝の気持ちを思い出すし「下手なことには使えない」という意識も働く。こうして判断力が鍛えられるわけだ。
 もっとも、こうした判断力はお年玉の時期に限らず、日ごろから小遣いで学ばせることも大切だ。
 「60円あったらどれを買う?」。小学校でいちのせさんが実施する金銭教育教室の一場面だ。机には10~60円の駄菓子が並ぶ。当然、子どもたちは好きな駄菓子に飛びつく。
 そこで「忘れてた」と取り出すのが60円の鉛筆1本。「もう一度聞くよ。みんなに必要なものはどれ?」。こんな会話だけで子どもたちはほしい物と必要な物の違いを明確に意識し始める。スーパーで買い物を任せ、レジに行く前に本当に必要な物かどうかを考えさせるのも一つの方法だ。
 お金の使い方を学ばせることは今後さらに重要になると指摘する識者は多い。電子マネーの普及でお金を使う実感を得にくくなっていることが理由の一つ。加えて収入の伸び悩みで家計が厳しくなる家庭が目立ってきていることも大きい。「これからは子どもが自分の将来のお金をためる時代」と話すのはいちのせさん。それが将来の生活力になるという考え方だ。
 もちろん、厳しく買い物を制限するだけではだめ。失敗して身につくこともあるからだ。「無駄遣いで損をするのは子ども自身。失敗を責めるより、いい使い方をほめれば子は伸びる」といちのせさんはアドバイスしている。

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