2011年6月26日日曜日

夏のボーナス、家計の防衛色再び強まる、使い道、貯蓄が最も多く。

支給額 「昨年並み」5割弱
 2011年夏のボーナスについて日経生活モニターに登録する読者を対象に調査したところ、支給額が「昨年並み」との回答が5割弱、「減りそう」が4割だった。使い道は貯蓄が最も多く、節約志向も鮮明になった。昨冬の調査ではボーナス水準が底入れする兆しがみられたが、東日本大震災や政局混迷などで経済の先行き不透明感が広がり、再び家計の防衛色が強まっている。(調査の詳細を電子版「マネー」に)
 神奈川県の男性会社員(50)は、毎年出かけていた秋の旅行をやめるつもりだ。CS放送で契約していた番組を減らし、本は買わずに図書館で借りることにした。ボーナスが減り「無駄なものを買わないようにした」ためだ。
「増える」は13%
 モニター調査で今年夏のボーナス支給見込み額を聞いたところ、「減る」が40%で「増える」は13%だった。「昨年の夏並み」とする人は47%。ボーナスが「減りそう」との回答は09年夏をピークに縮小してきたが、今回は2年ぶりに増加した(グラフA)。08年秋のリーマン・ショックで落ち込んだ上場企業の業績は11年3月期、ピークだった08年3月期の7割まで回復したが、ボーナス水準の戻りは鈍い。今夏のボーナスは「昨年並みかそれ以上に厳しい水準が続く」との予想が多い。
 厳しい水準にとどまりそうなボーナスをどう使うのか。使い道について支給額の何割を配分するかを答えてもらい、回答人数を考慮して加重平均したところ、最も多かったのは「貯蓄」で41%だった(グラフB)。2番目は「生活費の補填など」で22%。昨冬の調査と比べて「貯蓄」「生活費の補填」は横ばいだった。「旅行・レジャー費用」が12%と2ポイント増える一方、「住宅ローン返済」や「耐久消費財などの買い物」はそれぞれ1ポイント下がった。
 使い道ごとに1年前に比べて振り向ける金額を増やすか減らすかを聞いたところ、「増やす」と回答した割合から「減らす」を引いた値(増やす傾向)が最も大きかったのは「貯蓄」だった(グラフC)。貯蓄は増加傾向が強まる一方、昨冬の調査でトップだった「生活費の補填など」は増やす傾向が弱まった。
 貯蓄の理由として多く挙がったのが将来に対する不安だ。大阪府の男性会社員(33)は「定年まで30年あるが、日本の成長に期待が持てないので、貯金して少しでも不安を減らしたい」という。「子どもの教育費などを考え、ボーナスはすべて貯金する」(奈良県の主婦、30)といった声も目立つ。
 貯蓄による家計防衛と合わせて一段と強まっているのが節約志向だ。節約に対する姿勢は「これまで通り続ける」と「これからする」を合わせて86%(昨冬は84%)。一方、節約を「やめる」「休む」は計7%にとどまった。「節約モード」が常態化していることがうかがえる。
 東京都の男性会社員(35)は、ボーナスが減ったのを機に自転車通勤を始めた。「わずかだが交通費を浮かした分は貯金に回している」。収入面の不安から副業も始めた。神奈川県の主婦(32)は子どもの教育費を抑えるため、公立の幼稚園に通える場所への引っ越しを考え始めた。
 もっとも「削りしろ」があるうちはまだ余裕がある。宮崎県の男性公務員(57)は大学生の子供3人を抱え「すでに無駄な出費はない。減らせるのは自分の小遣いくらい」とこぼす。
 ボーナスが貯蓄に多く向けられることについて、ファイナンシャルプランナー(FP)の豊田真弓さんは「将来の不安は分かるが『できるだけ貯金』では生活が楽しくなくなる」と心配する。教育費や老後の資金などは「きちんと計画を立てれば、消費の余裕が生まれることもある」という。
投資に慎重姿勢
 ボーナスなどの収入が減る状況では、保有資産の運用などで減収分を補う考え方もある。ただ、ボーナスで投資を考えている人も、大震災をきっかけにした株式相場の低迷などで、この夏は慎重になっているようだ。
 ボーナスの使い道として投資を「増やす」か「減らす」かを聞いたところ、「減らす」人の割合が多かった。投資への姿勢も「利回りより元本の安全性を重視する」が57%と昨年冬の調査に比べ小幅ながら上昇。FPの神戸孝氏は「ボーナスが投資でなく貯蓄に向かうのは、投資による利益を出せていないことも一因」と分析する。
 北海道の主婦(51)は資産の2割程度を原子力発電に関連した企業の株に投資していたが、3月の株価下落局面で売却し「多額の損失を出した」。回収した資金は主に金投資に振り向けるという。円高が続き「ドル建て預金が3割目減りしている」(滋賀県の女性会社員、42)との声もある。
 来年夏のボーナスの水準の予想を聞いたところ、今年に比べ増えると思っている人はわずか12%だった。ボーナスが今後も増えないとの見方は広がりつつある。
 大震災で滞っていた投資信託への個人マネー流入が5月には急拡大するなど、一部では投資意欲回復の兆しもみられる。ただ、全体としては国内の低金利や株価低迷など投資環境の厳しさは変わっていない。収入や投資収益が伸ばしにくいなか、いかに教育費や老後の資金を確保していくのか。ボーナス資金を貯蓄に回す姿勢が強まっているのは、こうした不安感が背景にあるようだ。

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