2011年6月7日火曜日

国債投資のイロハ――「個人向け」魅力は低リスク

変動10年、金利設定を変更 郵便局・銀行などで購入可能
「新窓販」中途換金に注意 市場価格で元本割れも
 東日本大震災後に株式や為替市場が大きく変動したのを受け、リスクの低い金融商品への関心が高まっている。安全資産の代表格として、国債に注目する人も多い。よく耳にするが、国債とはどのような商品なのか。国債投資の基本をおさらいしよう。
 国債は国が発行する利子付きの債券を指す。国は予算編成で歳入不足になった分、国債を発行して資金を借り入れる。投資家にとって国債を買うことは国に資金を貸すことを意味する。
投資初心者向き
 国債を購入すれば国から利子が支払われ、満期まで保有すれば投資資金(元本)は全て戻る。金融商品としては定期預金と似ている。国が財政破綻しない限り元本は回収できるので「安全資産で運用したい投資初心者向き」とファイナンシャルプランナー(FP)の馬養雅子さんは指摘する。
 個人が簡単に投資できる国債は2種類ある。「個人向け国債」と「新窓販国債」だ。個人向け国債は購入者を個人投資家に限定した商品で、最低1万円から購入できる。発行時に定めた利率が満期まで変わらない固定金利の3年物と5年物のほか、発行後に利率が変わる変動金利の10年物の3種類から選べる(表A)。
 変動10年物は市場で決まる長期金利に応じて、半年ごとに利率を見直す。長期金利が上がれば受け取る利子が増え、下がれば利子も減る。ただし、金利が下がっても最低で年0・05%の利率は保証される。
 換金性が高いのも個人向け国債の特徴だ。発行後1年(固定5年物は2年)たてば中途解約できる。換金時に違約金として直前2回分(固定5年物は4回分)の利子相当額の8割が差し引かれるが、元本は保証される。財務省のホームページには、中途換金時の受取金額を算出できるサイトがあるので参考にしよう。
 個人向け国債の利率を他の金融商品と比べるとどうなるだろう。例えば2011年7月発行分の固定5年物の利率は年0・41%(税引き前)。大手銀行の5年定期の利率(年0・06%程度)より高く、ネット銀行の定期預金(年0・2~0・3%程度)よりやや高い水準。一方、大企業が発行する個人向け社債ではリスクが高い分、利回りが年1%を超えるものもある。
 個人向け国債の利率は、市場金利の低下に伴って08年ごろから低水準が続いている。利率低下で国債離れが進み、発行額も減少。発行額はピーク時の05年度には7兆2000億円を超えていたが、10年度は7分の1の1兆278億円にとどまった。06~08年度は利率が年1%超と現在の2倍以上の商品も多く、魅力を感じる投資家が多かった。
 財務省は個人の国債離れを防ごうと、変動10年物について7月発行分から金利の決定方法を変更。従来は長期金利に連動して決まる基準金利から0・8%を差し引いていたが、基準金利に0・66を掛け合わせる方式に変える。基準金利が低い場合は新方式の方が利率が高くなる。「金利が低いという意見を参考に商品性を改善した」(財務省理財局国債業務課)という。
 新方式ではどれだけ利率が上がるのか。2日に適用利率を発表した7月発行分の10年物は、新方式で年0・77%(税引き前、初回利率)。従来方式では年0・37%で、設定変更に伴い0・4ポイント金利が高まった。「低金利時代に、金利1%台に期待を持てるような数少ない商品」とFPの前川貢さんは指摘する。
売買手数料なし
 個人が買える国債にはもう1種類ある。07年から販売が始まった新窓販国債だ。固定金利で2年物、5年物、10年物がある(表A)。最低5万円から購入できる。個人向け国債と異なり中途換金時に国が買い取る制度がないが、代わりに利率が高めなのが特徴だ。
 新窓販国債を満期前に換金したい場合は債券市場で売却する。ただし、価格は市場の実勢で決まるため、元本を割り込むこともあるので注意が必要だ。
 個人向け国債、新窓販国債ともに郵便局や銀行、証券会社などの金融機関の窓口で購入できる。ネットで買える金融機関もある。購入に当たっては国債用に新たに口座を開く必要があるが売買手数料はかからない。発行日前の一定期間に募集を受けるので財務省のホームページなどで日程を確認しよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿