2011年7月12日火曜日

おさらい生命保険(下)入り方編――同じ内容でも保険料に差

営業コストなど反映 家計の負担見極めて
職員が来訪 対面で相談
代理店 各社の商品比較
ネット通販 簡単で割安
 生命保険は万一のときに受け取る保険金など加入の条件が同じでも、会社によって保険料に大きな差がある。貯蓄に回せるお金を増やし、家計の自由度を高めるためには、複数の会社の商品を比較する意識が欠かせない。生命保険の入り方や見直しのポイントをまとめた。
 「たいていの物やサービスは価格が上がればそれだけ機能や内容が充実するが、生命保険は違う」。こう語るのは、元大手生保営業職員で保険代理店役員の後田亨さんだ。
「純」「付加」に分解
 今回、死亡時3千万円の定期保険(期間10年)に40歳男性が加入した場合に絞って、保険料を比べた(グラフA)。インターネット生保のA社やB社の保険料は、国内大手F社に比べて6割の水準だ。
 F社は保険料が余った場合、契約者に分配する「配当」がある。配当金がどの程度になるのかはわからないため、保険料を一概に比べられない面もある。
 ただ「死亡時に3千万円」という保障内容が同じ定期保険なのに、保険料に大きな差があることは珍しくない。なぜか。理由を探るには保険料が決まる仕組みを知る必要がある。
 一般的に保険会社に支払う保険料は、保険金や給付金に充てる「純保険料」と、人件費などの経費や利益になる「付加保険料」の2つに分解できるといわれている(図B)。死亡保険の場合、保険の原価に相当する純保険料は各社共通の指標を用いているため、基本的にはどの会社も同じ水準とされる。保険料の差は、付加保険料の違いによるといっていい。
 ネット生保は店舗や営業職員を持たない。一方、きめ細かいサービスを目指して全国に拠点を構え、多くの営業職員を抱える会社も多い。こうしたコストの差を反映すると保険料が違ってくるわけだ。
 死亡保障に入院をカバーする特約や貯蓄機能などを組み合わせて提案する会社も目立つ。ファイナンシャルプランナー(FP)の竹下さくらさんは「このやり方だと、他社と比べて保険料が高いのか安いのかが分かりにくい」と指摘する。
 自分に合った生命保険を見つけるにはどうすればいいのか。「対面で相談できる担当者が付く方が安心」という意見もある。表Cに加入方法ごとの長所と短所をまとめた。
 営業職員は商品知識が豊富で、保険の説明や契約の際などに、自宅や会社まで来てくれるなど丁寧なサービスが期待できる。半面、一社専属のために他社商品との比較はできない。「勧める商品は内容が複雑で、保険料が高めの傾向がある」(FPの内藤真弓さん)という指摘もある。
 駅前の商店街などによくある、複数の会社の商品を取り扱う保険代理店の場合、店員に相談しながら割安な保険を探すことができる。ただ「保険会社が代理店に支払う販売手数料の高い保険を勧める例もある」(竹下さん)という。「もっと安い保険はありませんか」と尋ねる姿勢が肝心だ。
 インターネットなどの通信販売は、対面で説明が受けられない代わりに単純な商品が多い。保険料は割安だが、最も安いとは限らない。一部の会社が健康でたばこを吸わない人など向けに「リスク細分型保険」として、より安い保険料の商品を提供している。
団体向けも要検討
 勤め先の会社などで「団体保険」に入れる人は、検討する価値がある。1年更新の定期保険が主流で、募集コストがかからないため、保険料が安い。配当金が出ることもあり「実質的な負担額でネット生保を下回ることも珍しくない」(後田さん)という。
 月々の保険料について竹下さんは「手取り額の5~10%以内が無理のない水準。これ以上なら見直しが必要」と話す。後田さんは「掛け捨ての定期保険に絞れば多くの会社員は手取り額の1%程度で必要な保障が得られる」と見る(表D)。
 保険会社から更新時の保険料アップなどを理由に、既存契約の「転換」を勧められた際は、よく検討することが必要だ。「転換」とはこれまでの契約でたまった解約返戻金を頭金にして、同じ会社の新しい保険に入り直すことを指す。
 提案内容にもよるが、後田さんは「予定利率(保険の積み立て部分の利率に相当)が引き下げられたり、解約返戻金が失われてしまうなど契約者にとって不利な変更になることがある」と指摘する。

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