2011年7月2日土曜日

自宅の外壁、補修するには――損傷に合わせ方法選ぼう

 いよいよ台風のシーズン。地震などでマイホームの外壁にひびが入ったまま放置しておくと、雨漏りがしたり、壁の劣化が進んだりしかねない。大切な自宅を長持ちさせるためにも、外壁の修繕方法や注意点をまとめた。
 「まさか、自分の家がこんな状況とは」。東京都大田区に住む真田孝一さん(仮名)は、東日本大震災の翌日、3階建ての自宅の外壁を見て驚いた。あちこちでひび割れや剥落が起きていたからだ。
 真田さん宅の外壁は、セメントと砂などを水と練り合わせてつくるモルタルを塗り、さらに塗料で覆う方式。ひびが小さければ応急処置として、自分でコーキング材などを使って埋めることも可能だ。手軽で費用も安いが、補修部分が多いと美観を損なう。コーキング材の寿命も塗料での塗装に比べると短い。
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 損傷がひどいため、真田さんは自前での修繕をあきらめ、2つの業者に見積もりを依頼した。1社はハウスメーカーで、もう1社は大田区から紹介された地元の工務店だ。2社の提案はまったく違った。
 ハウスメーカーは、現在のモルタルをすべてはがしサイディングという板状のパネルを張る方式を提案した。理由の一つは、モルタル壁に比べメンテナンス性や美観が優れている点だ。建物にとって、水分の浸透は禁物。新しいモルタルを一部だけ使うと新旧のモルタルの接着部分などで細かい隙間などが生じやすい。
また、部分的な塗装だと美観も良くない。
 一方、工務店は従来と同じモルタル壁による改修・塗装をすすめてきた。最大の理由が費用の安さだ。外壁全体をサイディングに替えると、古いモルタルの解体処分費がかかる。ハウスメーカーの見積書では、解体処分費が工務店の見積もりの10倍以上だった。
 モルタルでは塗料やコーキング材などの性能が向上している点も見逃せないという。耐久性や柔軟性、止水性が増し、新旧のモルタルが併存しても従来ほど問題は生じないという。
 モルタル壁の補修では、新たな技術も登場している。横浜市にある工務店のスズコーは、米国生まれの「EAGLE8」という製品を今春から使い始めた。特殊セラミックスを使った粉状の原料を水と混ぜてから塗り込む。
 同社の岩倉春長社長によると、従来のコンクリートに比べ強度が2~3倍、曲げ強度で4倍以上の性能があり、ひび割れ部分に塗れば、強度が高まるという。単価は1平方メートルあたり数万円と従来の補修材と比べてかなり割高だ。このためスズコーは、住宅の外壁全体に使うのではなく、部分補修としての利用に向いているとしている。
 外壁に限らず、住宅のリフォームで消費者の頭を悩ますのが、工法や製品の選択肢が多く、最適な工法や工事の適正価格がわかりにくいことだ。国土交通省の調査によると、リフォームについて消費者からは「見積もりが適切か不明」「費用が当初予定より超過した」といった声が多い。
 業界でも外壁修繕について不明朗な事態を改善しようと、全国住宅外壁診断士協会を設立。今年から民間資格の「外壁診断士」と「外壁アドバイザー」の認定を始めた。外壁診断士は、建物の構造に関する講義を受けて試験に合格した場合に付与される。資格保有者数は2つ合わせてまだ60人強で、今後増える見込みだ。また同協会では、適正な外壁工事業者かどうかを見分けるポイントを5つ挙げている(表2)。
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 工事を依頼するのなら、信頼できる業者を選び、費用もできるだけ安くしたい。ただ工事価格には、材料費や解体処分費などが含まれており、わかりにくい。ファイナンシャルプランナー(FP)の岩永慶子さんは「少なくとも、その工事の大まかな平均単価は知っておくべきだ」と指摘する。
 国土交通省の報告書によると、2006年の屋根や外壁などの塗り替え工事の全国平均は216万円、屋根のふき替え工事は147万円となっている。
 住宅リフォームは、経年劣化や家族構成の変化などでいずれ必要になる。ただ、子育てや住宅ローンを抱える30~40代などはリフォーム資金を別建てで用意しにくい。岩永さんは、「貯蓄型の死亡保障保険でリフォーム資金を積み立てるなど、複数の使い道に対応する形で準備する方法もある」とアドバイスしている。

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