政府が検討している電力不足対策の工程表は、短期と中長期の二段構えで対策を進めるシナリオを描いた。当面は家庭や企業の省エネを支援して電力不足をしのぎ、来夏をメドに電力の料金体系の見直しや発電事業の競争環境の整備といった大がかりな制度改革に取り組む戦略だ。
工程表は、原子力発電所の再稼働が難しい場合を想定。火力発電所の能力増強をまず打ち出した。目先の対策の目玉となるのは家電エコポイントの復活や、省エネ機器をリースで導入する企業・家庭への補助制度。機器自体の電力需要量を落とすのが目的だ。
無線通信で消費電力を常時把握できるスマートメーターや、余った電気を蓄える蓄電池の設置もピーク時の電力需要の分散が狙いだ。
こうした「準備」を踏まえて、ピーク時の電力料金の引き上げや節電した分の料金を割り引く料金体系の抜本見直しなどを実施すれば、企業や家庭が自ら蓄えた電気を使ったり、ピーク時の電力使用を節約したりする動きにつながる。
だが料金体系の見直しなどが頓挫すると、当面の電力不足対策は家庭・企業への省エネの押しつけだけに終わる。
工程表は菅直人首相が期待する企業の自家発電などの供給力には触れていない。供給側の対策が伴うことで電力需給対策は完結するが、いまのところは火力発電の増強への期待にとどまっている。
中長期的にカギを握るのは風力や太陽光など再生可能エネルギーの普及。そのためには、規模の小さい電力事業者や自家発電をする事業者のビジネスが成り立つ仕組みが必要になる。
国会で14日に関連法案が審議入りした再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度の導入はその一環。工程表は、電力を取引する卸電力取引所から既存の電力会社が一定量を購入する取引所の活性化策も掲げた。
ただ電力会社の発電部門と送電部門を分ける「発送電分離」は明記されず、「送配電利用についての中立性・公平性の確保」との表現にとどまった。発送電分離には発電事業者の新規参入を促す効果があるとされるが、電力会社の抵抗は強い。いまの工程表では、新規事業者が送配電設備を借りる場合の料金の見直しなど、各論の改革にとどまる可能性もある。
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