2011年7月10日日曜日

教育費、どうためる?、老後資金と分け、計画を――高校までは生活費から

保険は元本割れに注意
 教育費は「家を買うのと同じくらいお金がかかる」といわれる。子供を持つ時期が遅くなり、我が子が成人するころに親が定年を迎える家庭も珍しくない。老後資金と教育費をどう両立するか、悩む人も多そうだ。今どきの教育費をどう準備していくべきか、ポイントをまとめた。
 「教育費をどれだけかけるかは、各家庭の選択の問題。でも『かかる』お金と『かける』お金は分けて考えよう」。ファイナンシャルプランナー(FP)の菅原直子さんは、最初にこう助言する。女性FPでつくる「子どもにかけるお金を考える会」のメンバーで、教育費に悩む親からの相談をよく受ける。
 子供に望む通りの人生を送らせてやりたい、という親心から教育費は膨らみがちだ。ただ、厚生労働省の統計によると、子供を産む女性の年齢のピークは30代。35歳以降の出産が増えている。うっかりすると教育費が老後資金を食いつぶしかねない。
子供に事前に伝達
 教育費は一体どれだけかかるのか。グラフAのように公立校と私立校ではかなり違う。留学や進路によってはさらにかかる。菅原さんは「例えば義務教育を私立校で受けさせるのは、やむを得ず『かかる』お金ではなく、選択的に『かける』お金。どこまでお金をかけられるか、早めに考えるべきだ」という。
 FPの竹下さくらさんは「親としてできるのはここまでと、子供に話しておこう」と提案する。「大学は国公立、大学院の費用は出せない」などと、親の財布の大きさについて、子供が進路を考える前に伝えておくべきだと話す。
 親として出せる範囲の教育費。準備の基本は「取り分けること」(FPの平野泰嗣さん)だ。平野さんは「親の年齢が高ければ若いころより貯蓄はある。まとまった金額を一括して取り分ければ、毎年の負担は減る」という。普通、子供が生まれたら計画的に積み立てるべきだとされるが、これは、まだ貯蓄が少ない若い家庭に向く考え方だ。
 公立コースと私立コースの中間を取って子供1人にかかる費用を1500万円と想定する。大学卒業までの22年で単純に割ると、年間70万円弱。一括して300万円を取り分ければ、1年当たりの必要額は55万円に減る。
 竹下さんは「親の年齢にかかわらず、高校までの費用は生活費で賄うのが基本」という。教育費として取り分けるお金は、大学など高等教育機関の費用だ。大学入学時に必要なお金の目安はよく300万円といわれる。これは「高校までと同様に生活費で賄うだけでは足りない金額」(竹下さん)だ。
 300万円と聞くと「大金をためなくてはならないと焦る親が多いが、実はそれほど苦労せずたまる」と、FPの深田晶恵さんはみる。今は手元資金がなくても「3~5歳に毎月1万円、小学生の間は月2万円、中高の6年間に月1万円ずつためると、タンス預金でも252万円になる」(深田さん)。
 タンス預金だと使ってしまうので、金融商品で準備するのが普通だろう。菅原さんは、使う時期が決まっている教育費には元本割れしないものを勧める。主な元本確保型の商品を表Bで比べてみた。
 低金利が続くなか、定期預金の弱みは利回りだ。個人向け国債は10年物で直近の利率が0・8%弱だが「単利なのが弱点」(深田さん)。複利効果がないうえ、利息を意識して取っておく必要がある。
 利回りにあたる「返戻率(受け取る保険金が払った保険料の何%になるか)」が高めなのは、学資保険と「低解約返戻金型」の生命保険だ。保険料は払込期間が短いほど割り引かれるのが一般的。親が被保険者となる低解約返戻金型は加入時の年齢が高いと保険料が高くなって返戻率が下がるが、子供が被保険者となる学資保険は親の年齢ではあまり変わらない。学資保険で保険料を一括で払うと年齢が高い親でも最大に近い返戻率を享受できる(表C)。ただ、保険会社や付加する特約によっては返戻率が低くなる。
 菅原さんは「大学への推薦入学では、高3の途中で入学費用がかかる」と注意を促す。学資保険の18歳満期では、推薦入学の入学金納付に間に合わない恐れがある。学資保険の満期は選べるのが普通で、保険会社によっては17歳満期に設定できる。
 保険の最大の注意点は、途中解約で元本割れするリスクが大きいことだ。特に注意したいのは低解約返戻金型。当初何年かは解約返戻金を通常商品より低く抑えて保険料を下げる一方、後半の解約返戻金が大きく増える仕組みで返戻率を上げている。学資保険にも同様の仕組みを取り入れたものがある。早い段階で解約すると、ほぼ確実に大きく元本割れするので、保険会社からもらう毎年の返戻率試算表を熟読しよう。
 また、預け先が破綻したときは、数百万円の預金なら全額保護されるが、保険は払った保険料総額より少ない金額しか戻らない恐れがある。
投資信託も手
 ここ数年、親の収入が減って教育費の準備資金を取り崩さざるを得ない家庭も目立った。「予期せぬお金が必要になるリスクに備え、保険に回すのは何があっても手を付けなくていい金額にとどめるべきだ」とFPは口をそろえる。保険と預金を組み合わせるなどの分散が大切だ。
 大学の費用の準備期間は17年程度ある。時間を生かし、一部を投資信託などで運用するのも一案だ。元本割れリスクはあるが利回りは高くなる可能性もある。ただ目標額に達したら、利益を確定して預金などに移すのを忘れないようにしよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿