2011年7月5日火曜日

おさらい生命保険(上)仕組み編――目的を明確に、誤解も多く

「教育費」などに絞って
妻の保障内容にも注意
保険会社破綻の場合は減額も
 日本の世帯の約9割が加入しているとされる生命保険。給与の伸びが期待しにくい中で、毎月決まって出ていく保険料は多くの家庭にとって重い負担だ。加入の目的や前提条件を整理して、基本的な知識を身に付ければ、より賢く生命保険と付き合えるはずだ。
 「保険の役割は本人や残された家族の努力で賄えない大きな経済的損失に備えることに尽きる」。こう強調するのは、ファイナンシャルプランナー(FP)の内藤真弓さんだ。
公的保障不足分に
 生命保険(死亡保険)とは加入者が保険料を出し合って、万一の死亡や重い障害を負ってしまった時に備える金融商品だ。「預金は三角、保険は四角」とよく例えられる。預金は時間をかけないとまとまった金額がたまらないのに対し、保険は原則、加入した時点で万一の際の保険金支払いが約束される(図A)。
 「子どもがまだ小さいのに、将来の教育費が用意できていない」といった家庭が突然、一家の主な稼ぎ手を失えば、経済的損失は極めて大きい。内藤さんは「問題は遺族年金などの公的な保障、残された配偶者の収入や親族の援助などでその損失をカバーできるかどうか。不足すれば保険に頼ればいい」と説く。
 FPの藤川太さんも「子育て世帯にとって保険加入の主目的は教育費の確保。ただ、生活費の高い都市部では、教育費に生活費も上乗せして考える必要がある」と語る。
 表Cに主な生命保険の種類をまとめた。
 定期保険は一定期間内に死亡した場合、決まった額の保険金が受け取れる。収入保障保険は死亡時期が遅くなるほど遺族の受取総額が減る。いずれも「10年」「60歳まで」など期間を定めて加入し、保険料は掛け捨てとなる。
 一方、保障が一生涯続き、何歳で亡くなっても保険金が受け取れるのが終身保険。保険料は一生涯払い込む場合と、一定年齢まで払い込む場合があるが、まとまった解約返戻金が出る積み立て式のため、高い。
 生命保険文化センターによると、40歳男性が20年間、毎月1万円払い込んだ場合、定期保険なら死亡時に2160万円支払われるのに対し、終身保険は305万円と7倍の開きがある。負担を抑えて、子どもの大学卒業までなど一定期間、大きな保障を得るには掛け捨ての方が優れている。
 一般に末子の誕生をピークに、年を重ねるごとに、遺族に対する必要保障額は減っていく。近年、人気を集めている収入保障保険の保険料が安いのは、死亡時期が遅くなるほど遺族が年金形式で受け取る保険金の総額が減るためだ。
「過剰」なら見直し
 生命保険には現在の家計を取り巻く環境にはそぐわない誤解も多い。
 表Dの「(2)年収の高い人ほど高額の保障が必要?」について、内藤さんは「大企業に勤めている人ほど、過剰保障状態の人は多い。年収が高ければ遺族が受け取る遺族厚生年金の額は増える。勤め先の弔慰金や遺児育英年金なども充実していることが多いので、見直しの余地は大きい」と語る。
 専業主婦世帯の数を共働き世帯が逆転して久しい。夫婦2人の収入で家計を支えているような世帯では「(3)妻の保険金額は少なくてもよい?」のケースに当てはまらないか注意が必要だ。
 現行の年金制度では、妻の死後、残された子どもと夫が同居していると遺族基礎年金は支給されず、遺族厚生年金も55歳未満の子のいない夫には支給されないからだ。妻の保障内容が十分か確認しよう。
 「(4)保険には貯蓄機能がある?」について、藤川さんは「保険による貯蓄が有利だったのは予定利率(保険の積み立て部分の利率に相当)の高かった1990年代半ばまでの話。貯蓄は出し入れが自由で元本割れのない預金で対応すべきだ」と強調する。
 もしも、加入先の保険会社が破綻した場合、生保各社が加入する「生命保険契約者保護機構」が契約を継続する契約者保護の仕組みが用意されている。
 ただし、積み立て式の商品を中心に、保険金などが減額されたり、契約時の予定利率が引き下げられたりすることがある。会社選びには経営の健全性を示す「ソルベンシーマージン比率」なども参考にするといいだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿