外国為替市場で円相場が急伸している。欧州債務不安の拡大をきっかけに市場でリスク回避姿勢が強まり、円が主要通貨に対して買われた。直前まで外貨の買い持ち高を過去最高水準に膨らませていた個人投資家が損失拡大を止めようと円を買い戻す動きが出たことも円高に拍車をかけた。ただ、震災後の円高局面に比べると損失は限定的で個人の外貨買いは衰えていないとの指摘もある。
▼…13日早朝の外国為替市場で、円相場は一時1ドル=78円台半ばと、震災後につけた過去最高値(3月17日、76円25銭)に次ぐ4カ月ぶりの高値水準を付けた。
個人投資家は市場の流れに逆らって外貨を買う「逆張り」を得意とし、直前まで外貨買いを膨らませていた。個人の動向を反映する東京金融取引所の外国為替証拠金取引「くりっく365」でみると、12日時点の米ドルやユーロなどの外貨(12通貨)の対円買い越し規模は、前日比12・6%増の約88万枚(枚は1万通貨単位)。震災直後の3月16日の86万枚を上まわり、過去最高を更新していた。こうした個人の多くが、円高により評価損を抱え、13日朝に外貨の売りを迫られた。
▼…早朝に高値が付きやすいのはFX取引特有の慣習もある。FX会社の多くは早朝に取引を一時停止し、1日の取引を集計し顧客の損益状況を計算する。この時に顧客に一定の評価損が生じた場合、強制的に取引を終了させる「ロスカット」ルールが発動され、取引再開後に反対売買が実行される。
震災後の高値時にはこの時間を狙って海外の投機筋が仕掛け的な円買いに動いた。「今回も同様の投機的な動きが出た可能性が高い」(FXプライムの柳沢浩チーフアナリスト)という。
▼…ただ、震災後の乱高下で損失を被った経験から、個人投資家は小幅の値動きでもこまめに持ち高を手じまっており、前回ほど大きな損失を受けていないとの指摘も多い。8月1日からFX取引の証拠金倍率(レバレッジ)が現行の50倍から25倍に規制されることを見越して、個人が倍率を低めに設定していたことも、円高耐久力が増したことの背景にある。
今日の円急伸の局面では「いったんは損失確定した個人が新たに外貨買いに動いている」(セントラル短資FXの伊藤雅博市場営業部長)との声もある。実際、円相場は78円台を一時付けた後は79円台前半に値を戻している。ただ一方で、「個人投資家が利益確定に動く80円前後で円の戻りが鈍くなる可能性がある」(外資系銀行)と指摘する声もあった。
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