2011年7月19日火曜日

難しくなった小学校の宿題―親にも難題、手助け限界?

 甘えん坊のA男が、お母さんと塾に現れた。「週2回の通塾を、来週から1回にしてください」。済まなそうにお母さんが言う。
 5年生になったら、急に宿題が増え、毎晩9時すぎまでかかる。塾のある日は、寝るのが遅くなり、翌日、学校で居眠りすることもある。「本人が疲れると言うので……」。お母さんは困り顔で説明した。
 1月ほど前、お母さんに電話で「学校の宿題を塾でやってもいいか」と聞かれたことがある。A男は中学受験するわけではないので、「どんな勉強をするかは自由です。どうぞ持ってきてください」と答えた。
 だが、A男は宿題を持って来なかった。「宿題、見てみたいな」。私がつぶやくと、お母さんは家に戻り、その日出された算数のプリントを持ってきた。
 「えッ、この1枚だけ? これを解くのに、9時までかかるの?」。そう言いたいところをぐっとこらえて、「では、早速やってみよう」。宿題を解くA男の前で、お母さんから話を聞いた。
 A男の家は飲食店で、1階に店、2階に住まいがある。夕食が済むと、両親は店に出て、A男は宿題に取りかかる。解けない問題があると、その都度、お母さんにSOSを出す。「忙しい時間に『質問!』と言って、店のインターホンを鳴らすんです。でも、私にも解けない問題が多くなって……」
 新しい学習指導要領が始まり、小学校では学習内容が増え、しかも難しくなった。宿題にも1、2問だが、発展的な問題が盛り込まれている。A男は、その問題が解けないのだ。
 「どうしてお母さん、解けないの?」。会話に割り込んで来たA男に、「お母さんはスーパーマンじゃないよ。解けなかったら、学校の先生に、分かりませんでしたと言えばいいんだよ。塾のある日は、先生と一緒にやれば?」。私が言うと、お母さんが「週2回、やっぱり通ってみる?」。少し考えてからA男が答えた。「やってみる」
 お母さんと私は黙って目を合わせた。

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