2011年7月15日金曜日

国債への資金逃避加速、欧米経済の先行き不安視

 投資家が安全資産とされる国債に資金を移す動きが加速している。14日の債券市場では幅広い年限の国債が買われ、利回りは軒並み低下(価格は上昇)。米景気の先行き不透明感と欧州財政不安に、円高による国内景気の悪化懸念が加わり、国債が買われやすい状況になっている。市場では当面は金利は低下しやすいとの見方が増えている。
 ▼…財務省が14日実施した新発5年物国債の入札について、市場は「順調な結果」と受け止めている。応札額を落札額で割った応札倍率は3・52倍と前回(6月、3・21倍)を上回った。世界経済の減速懸念などを背景に、投資家は積極的に応札したようだ。
 流通市場でも国債は買われ、5年債利回りは0・370%、長期金利の指標となる10年債は1・070%とそれぞれ約8カ月ぶりの低水準を記録。20年債利回りも約8カ月ぶり、30年債も約7カ月ぶりの低水準だった。
 ▼…米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は13日、米雇用情勢は「危機的」などと述べ、米景気への厳しい見方を示した。追加緩和の可能性にも言及。「当面の市場のテーマは米景気になった。投資家は米景気の動向を見ながら行動する」(みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリスト)
 欧州の財政不安も依然として根強い。投資家はギリシャやイタリア、スペインの国債を売却。欧州で安全とされるドイツ国債に加え、日米国債がマネーの退避先になっている。投資家はリスク回避姿勢を強め、相対的に安全な国の債券に資金を移しているようだ。
 ▼…国内経済だけをみれば、東日本大震災から復興が本格化し、景気回復期待から金利は上昇しやすい。部品などのサプライチェーン(供給網)は徐々に復旧し、生産の回復を示す指標が相次いでいる。それでも「海外と国内の要因を比べると、海外の先行き不安の方が金利に与える影響は大きい」(バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジスト)という。
 政治の混乱で、復興の本格費用となる2011年度第3次補正予算の編成は不透明。市場では補正予算に伴う国債の増発は11月以降との見方が多く「財政悪化が意識されるのは9月ごろ」(SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト)という。足元の円高も景気回復の足を引っ張るとみられ、金利低下局面が当面続きそうだ。

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