為替への影響焦点 外貨買い弱まる可能性 投資家が証拠金を預けると、その何倍もの外貨を売買できる外国為替証拠金取引(FX)への規制が、8月から一段と強化される。投機性を弱めるのが狙いで、証拠金倍率の上限(元手の何倍まで取引できるかの数値)は今の半分の25倍に下がる。個人の高リスク取引は曲がり角にさしかかり、円高傾向の為替相場にも影響は及びそうだ。 高倍率が野放し状態だった個人のFXに初めて上限(50倍)が導入されたのが昨年8月。今回はそれに続く措置となる。昨夏の措置で取引額は3割程度減少。業界内ではさらに減ることへの懸念が出ているが、「倍率低下で投機的イメージが薄れる」(セントラル短資FXの松本一栄社長)と歓迎する声もある。 為替市場関係者は、規制強化による取引減少が相場にどんな影響を与えるかに関心を寄せている。FX利用者の売買は存在感が大きいためだ。 外貨取引の2割 FX業者と顧客の円対外貨の取引額を業界統計から推計すると、今年1~6月は1営業日平均5・8兆円程度。一方世界の為替市場での円対外貨取引額(直物)は、昨年4月時点の国際決済銀行(BIS)調査で1日28兆円だ。今年1~6月も同じ規模だったと仮定すると、FXの比率は約2割。業者は顧客の買いと売りを相殺する例も多く、注文のすべてが為替市場に出て行くわけではないが、個人による売買の影響力は大きそうだ。 規制強化のマーケットへの影響は、局面によって異なる。 まず、円高が進み始めた局面では、「FX投資家によって円高圧力が緩和される度合いがこれまでよりは小さくなる」(FXプライムの上田真理人専務)。従来FX利用者は円高局面で外貨を安く買う手法を好みがちだったが、倍率低下を受け、この「逆張り」の円売りが抑制される可能性があるからだ。 円急騰の防止も 一方で、今のように円高がある程度進み、投資家の逆張り的な外貨保有が膨らんだ局面では、逆に円の急騰を防ぐ効果も期待できる。 従来こうした場面では、FX投資家の存在がかえって円高に拍車をかけるケースがあった。円相場が上がり、外貨の評価損が一定程度に達すると、損失確定の円買いを強制される「ロスカット」という仕組みがあるためだ。 典型的な例が、3月17日早朝、円の対ドル相場が一気に3円以上上がり、過去最高値(1ドル=76円25銭)を記録したケース。一部市場参加者がロスカットの誘発を狙った円買いを仕掛けたと言われた。 今回の規制強化によって「ロスカットが相対的に発動されにくくなる」とIT関連会社役員で個人投資家の池谷大輔さん(31)はみている。証拠金倍率を下げると、評価損が膨らんでも、すぐにはロスカット発動基準に達しないためだ。 ただ、そうした相場安定効果がどの程度出るか不透明な面もある。サイバーエージェントFXの高根宏章社長は「ロスカットが減ってもストップロスの円買いが集中する可能性は残る」とみる。 ストップロスとは、一定の相場になったとき損失確定の反対売買をすることをあらかじめ決めておく注文。ロスカットと異なり利用は義務ではないが、多くの人が同じような水準にストップロス注文を出していると、相場がその水準に達した際に円買いが急増する。 7月12日の夕方、円が79円台前半に一気に上がった一因は、79円50銭近辺に集まっていたストップロスの発動だった。 8月の倍率引き下げを受けて投資家が外貨持ち高を一斉に減らすと、円高を招く恐れも否めない。新規制に向けて徐々に対応することが期待されている。 |
2011年7月19日火曜日
FX証拠金倍率、来月、上限50→25倍に――高リスク取引、一段と抑制。
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