国民皆年金制度になってから、今年でちょうど50年の歳月が流れた。
当時と現在を比べてみると、昭和36年(1961年)の厚生年金の支給開始年齢は男60歳・女55歳。平均余命から計算すると、男女平均の支給年数は約18年であった。現在は制度の移行期間中だが、最後に支給開始年齢は男女とも65歳になる。それでも支給年数は約23年と、当時より長くなる。
また、昭和36年前後の合計特殊出生率は約2・0で、出生数は約160万人、現在はそれぞれ1・3台、約110万人。保険料の基礎となる1人当り国民所得の伸びは当時が13~14%、現在は概(おおむ)ね横這(ば)いである。さらに、平均余命の伸びに伴い、受給者数も当初の予測より大幅に増えている。
長期の展望が必要な年金制度は安定性が大事だが、前提がこんなに違ってくると、5年毎(ごと)の財政再計算のたびに制度を変えざるを得なかった。
最近では平成16年(2004年)に大きな制度改正が行われた。財政当局の主張は殆(ほとん)ど通らなかったと担当者は憮然(ぶぜん)たる表情だったが、所謂(いわゆる)マクロ経済スライドや保険料の段階的な引き上げが導入された。世の中に苦い薬を飲んでもらうことが困難な近時としては、それなりの制度改正だったといっていい。
それでも、年金制度が動く経済を相手にしている以上、状況の変化に対応した不断の見直しが避けられない。現に、デフレのためにマクロ経済スライドは「空振り」になり、支給額引き下げの一部停止、保険料の伸び悩みもあって、年金財政の将来像は制度改正時よりかなり悪化している。
国民に安心を与える政策はかくも難しい。
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