2011年7月1日金曜日

家計への過度な負担回避を

 景気は震災後の落ち込みから立ち直りつつある。この間、企業と家計を比べるとマインド指標、支出統計(設備投資と個人消費)ともに企業の回復が先行している。各種リストラを通じ、財務や収益基盤が強固な企業。一方で、所得の頭打ちが続く家計。両者の隔たりは大きい。家計には、この先も負担増が続く。
 第1は身近な物価の上昇。震災以降、飲料水などの特売の頻度が低下し、実質値上げが進んでいる。電気料金の値上げも必至とみられる。
 第2は所得税増税。子ども手当見合いで、各種の所得控除が廃止される。復興債の償還財源としての定率増税や、B型肝炎訴訟の和解金を賄う財源としても期待される。
 第3は消費税率の引き上げ。税と社会保障の一体改革の議論にあるように、遠からず10%までは上がるだろう。
 となれば、家計は自衛的な節約志向を強める。持続不可能な給付と負担のアンバランス、厳しい財政事情を憂慮する当局の思いを、強く共有する。ただ、いささか家計への負担増が性急に映る。消費税率引き上げは粛々と進めるにしても、所得税増税には慎重さが求められる。過去2回の消費税増税時には、所得税減税が先行実施された。
 担税能力に注目して復興に必要な財源を決めることに一理はある。もっとも、所得稼得の背後での人的投資や努力を軽視すると、勤労やリスクテイクの意欲を阻害し、経済の活力をそぐ。本来は事後的な平等ではなく、事前的な機会均等を重視すべきだ。同時にセーフティーネットを充実させ、再挑戦可能な社会を志向し、経済を活性化する必要がある。財政の帳尻合わせだけでなく、目指すべき国家像や理念を伴う増税でなければ支持は広がらない。
 被災地の復興を進める際には民間資金を活用するPFIを促進し、公的支出を抑える。復興財源には政府保有株の売却も検討し家計負担の軽減を図るべきではなかろうか。

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