2011年7月15日金曜日

ドル・ユーロ安加速、米欧政治に市場が不信、世界経済にも影。

 米国と欧州でほぼ同時に政治の停滞感が濃くなり、市場の不信が増幅している。目の前に財政や金融の緊急課題が控えているにもかかわらず、必要な意思決定が遅れ、ドルやユーロが売り込まれる構図だ。政策の決定力を弱めた米欧は世界経済の成長にも影を落とす。
 「もう我慢の限界だ。大統領を辞めることになっても、これ以上の譲歩はできない」
 オバマ米大統領は13日、財政赤字の削減幅などを巡り強硬な姿勢を続ける野党の共和党に不満を爆発させた。ロイター通信などが同党関係者の話として伝えた。
 ホワイトハウスでの大統領と与野党の指導部の協議は先週末から休みなしで続く。「業を煮やした大統領が突然席を立った」「共和党の幹部に無礼な振る舞いがあった」など、メディアを通じて共和党と政権・民主党は中傷合戦を展開する。
 着地点が見えないのは連邦債務の法定上限の引き上げだ。8月初めまでに与野党が合意できなければ米国はデフォルト(債務不履行)に陥り、国債の信用が失墜しかねない。政府は資金調達の道が絶たれ、年金の支払いや軍人の恩給が止まると詰め寄る。共和党は「大統領の増税の主張が合意の妨げ」(ベイナー下院議長)と譲らない。
 早期の打開を促す声は増す。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は13日の議会証言で、米国債の信頼が揺らぐと「国際金融システム全体に衝撃が走る」と警告した。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは同日、財政再建を巡る協議の不調を踏まえて米国債の格付けを引き下げ方向で見直すと発表した。
欧州財政危機
 単一通貨ユーロを使う欧州は、各国が世論の受けを意識してまとまらない。市場に結束力のなさを見透かされ、債務危機のギリシャからイタリアやスペインにも不安は拡大。国債が大量に売られる局面が続く。
 典型的な争点はギリシャへの追加金融支援についてドイツやオランダが唱える「民間金融機関の関与」だ。ドイツなどの「支援側」は、ギリシャ国債を持つ金融機関も痛みを負わなければ納税者が納得しないとの立場を保つ。一方、欧州中央銀行(ECB)などは民間に負担を強いれば、ギリシャ国債がデフォルト扱いとなり市場の混乱が加速すると反発する。
 間を取る形でフランスの民間銀行が償還期間の長い国債に再投資する案を示したが、格付け会社は投資家への不利益を認めてデフォルトが避けられないとの判断だ。解が見えない方程式を前にユーロ圏や欧州連合(EU)の財務相は11、12日の協議でも結論を出せなかった。欧州発の金融危機がささやかれても、まさに小田原評定の状態だ。
 トリシェECB総裁は「国際的なドクトリン(原則)から逸脱したら金融安定の土台が弱くなる」と政治の「暴走」に強い懸念を発してきた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、ユーロの救済には余裕のあるドイツの負担増など大胆な行動が必要と説く。
 ファンロンパイEU大統領が15日に緊急EU首脳会議を招集するとの噂も広がったが、結論を出せないのが明白なためか開催は不透明なまま。市場の警戒感をよそに、政治家は内向きのポピュリズム(大衆迎合)に傾くばかりで欧州全体の意思が見えてこない。

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