2011年7月13日水曜日

節電と暮らし――窓開けると気になる…、生活音トラブル大丈夫?

欠かせない配慮/交流が防止に一役
 節電のため、窓を開けて風を通すことが増えそうな今年の夏。窓を閉めエアコンをつけていると気がつかなかった、様々な生活音の問題が出てきそうだ。話し声、家電の音、風鈴の音など一度気になり始めると耳について離れないという人もいる。音を巡るトラブルを防ぐ心得は何か、探った。
掃除機の音が
 「節電のため窓を開けていると、下の階や左右の家からの音が気になる」と話すのは神奈川県に住む主婦のA子さん(52)。朝9時ごろから掃除機の音が鳴り響き、時には音楽も。「出かけたり自分も音楽をかけたりして気を紛らわせている」というが、「窓を開けて音楽をかけ返すとけんか腰にならないか」と悩む時もあるという。
 子どもの声も、騒音となりうる。「噴水を稼働中はお子さんが大きい声で騒がないように注意してください」――。東京都西東京市の西東京いこいの森公園。子どもが水遊びに興じる噴水近くには、こんな看板が立つ。
 この噴水は7月1日に再開したばかり。東京地裁八王子支部が2007年、騒音源となる噴水などの使用を禁止する仮処分を決定し、約4年、止まっていた。騒音差し止めを申し立てた住民が亡くなったことなどから、市は地域への説明などを経て再開。今後もトラブル防止のため、月に1回公園と住宅の境界で音量を測定し、近隣の住民との意見交換に生かす考えだ。
 夏の音といえば風鈴。窓を開け放って風鈴の音色を楽しむのは節電の夏にぴったりの過ごし方にも思えるが、「チリンチリンという音があの世からのお迎えみたいで気がめいるという人もいる」と東京都国分寺市環境計画課長の増田章司さん。
 音への規制は東京都条例で定められているほか、国分寺市には規制基準以下の音をめぐる隣人トラブルを防止するための条例もある。「住民の間に入って何が我慢できないのかよく話を聞く。誰が聞いても騒音と感じるものもあれば、人によって気にならないものもあり、対応が難しい」と増田さんは話す。
 生活音がトラブルに発展する背景には、様々な要因がありそうだ。東芝ホームアプライアンスによれば、07年以降、家電は静音化が急速に進み「掃除機でも、キーンという耳障りな甲高い音がせず動いているかどうか分からないほど静かな機種まである」。
 その半面、東京工業大学連携教授の清水寧さんは「静音化でほどよい雑音までなくなると、これまで隠れていたモーター音などが気になることもある」と指摘する。
 住居自体の変化も見逃せない。「熱を逃しにくい環境配慮タイプの住宅では音がよく響く上、窓を閉めていると外の音がほとんど聞こえない。静かすぎる環境では、ささいな音でも耳障りに聞こえるようになる」と清水さんはみる。
 「近所付き合いが薄れてしまったので、トラブルを解決するのが難しくなった」。大阪府に住む専業主婦のB子さん(60)は近年こう痛感している。「買い物から帰ってきたとたん、階下の老夫婦から『うるさい』と苦情の電話が来た。どうすればいいか」と、同じマンションに住む若い夫婦から相談を受けたが解決できず、程なく若い夫婦は引っ越したという。
 では、生活音をトラブルに発展させないために、何をすればいいのか。
近所迷惑防ぐ
 まず、自分が必要以上に音を出さないよう気をつけることは大前提だ。
 「近所迷惑にならないよう草に水をやる時間に気を付ける」と話すのは大阪府の会社員のC子さん(46)。暑くて最近は5時過ぎに目が覚めてしまうことが多いが、水やりは周囲の家が起き出す時間になってから。「葉に水が落ちる音や蛇口を閉める音は明け方には案外響く。近所付き合いは配慮が何より大切」
 「生活音トラブルは音自体の大きさの問題というより、感情の問題も大きい。顔の見える関係があればこじれないことも多い」と話すのは特定非営利活動法人集合住宅管理組合センター(東京都新宿区)の有馬百江常務理事。「きっかけは何でもいいので、コミュニティーに参加することが大切」と説く。
 先のB子さんは、かつて子どもの誕生日パーティーで苦情を受けたことがあった。その際は「ケーキやお菓子を持参してあいさつに行く方法をお母さん仲間から教えてもらった」という。
 東京在住の会社員、D子さん(53)の家では、夜になると上の階から掃除の音が聞こえるが、理事会活動で顔なじみのため気にならないという。「家族の間で『今日は遅かったんだね』などと話す。怒る前に『もしかしたら自分も』と振り返れば、多少の音は許せるのでは」
 「窓から聞こえる親子の会話にほのぼのする」(33歳の男性会社員)というように、近所の音に郷愁を感じる人もいる。生活音は「お互いさま」の部分もある。そう思えば多少気になってもイライラせず乗り切れるかもしれない。
マンション組合も対策
 生活音トラブルの防止は、マンションの管理組合にとっても大きな課題だ。国土交通省・国土交通政策研究所が10年にまとめた「マンションの適正な維持管理に向けたコミュニティ形成に関する研究」によれば、調査に回答した約1000のマンションの約6割が生活音による住民トラブルがあると回答した。
 特に超高層型マンションでは76%で発生。担当者は「もともとホテルのような静かな暮らしを求める気持ちが強く、近隣からの生活音に敏感に反応するのでは」と分析する。
 対策として「上下階をチームにして防災活動をするなど、より戦略的に生活音トラブルに対処しようとするところもある」。解決を管理会社任せにせず、住民が解決しようとするマンションほどトラブルが少ないという。人のつながりはやはりカギになるようだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿