自動車保険の等級制度は無事故の期間に応じて保険料を割り引く仕組み。20等級に分かれ、等級が上がるほど割引率が大きい。通常、最初の契約時は6等級。1年間、無事故なら1段階ずつ等級が上がり、事故を起こして保険金支払いを受けると3等級下がる。
大手3損保の新制度では、事故で3等級下がった人には通常とは別の割引制度を適用し、割引率を縮小する。たとえば17等級から14等級に下がった人では、通常なら50%程度の割引率を新制度では30~40%に縮小する。14等級で基本保険料が年10万円の場合、1万~2万円の値上げになる。3年間無事故なら、通常の割引制度に戻れる。
大手3損保は損害保険料率算出機構が保険料算定の目安となる「参考純率」を夏に公表するのに合わせ、制度の詳細を設計し、金融庁に届け出る見通し。自動車保険事業の赤字が定着しているため、割引制度の見直しが必要と判断した。
大手損害保険会社が自動車保険で12年ぶりの等級制度見直しに踏み込んで実質的な値上げに動くのは、自動車保険事業が慢性的な赤字に陥っているためだ。損保各社は今年、事故率の高い高齢者ほど保険料を増やす「年齢別料率」を導入し始めた。今回の見直しは赤字脱却に向けた値上げの第2弾となる。 損保の収入(正味収入保険料)から支出(保険金)と経費を差し引いた利益率にあたる「収支残率」で見れば、自動車保険事業の厳しさはすぐわかる。大手3損保の2011年3月期の収支残比率はいずれもマイナスで、マイナス幅は3・8~7・9%と過去5年で最低に落ち込んでいる。 最大の要因はドライバーの高齢化だ。65歳以上の運転免許保有者は2010年末で1275万人。5年前に比べて4割増えた。高齢者の多くは契約が長い分、保険料の割引率が高い。その一方で高齢者の事故は増える構図が続いている。 高齢ドライバーの増加による保険事業の悪化を食い止めようと、各社は高齢者の保険料を値上げする保険料体系を導入し始めた。損害保険ジャパンは4月に導入。三井住友海上火災保険は10月、東京海上日動火災保険は来年1月に開始予定だ。 ただそれでも自動車保険事業の赤字脱却は難しい見通し。しかも年齢別の保険料体系の導入には「高齢者いじめではないか」との批判もある。このため今回は、年齢別ではなく、事故を起こした人だけを対象に値上げすることにした。 今回の見直しの議論では、割引率は今のままにしておいて、1回の事故で一気に保険料の負担を大幅に増やす案もあった。しかし現在の割引率を適用すると、一気に等級を下げることになる。仮に5等級下げる場合、12等級で基本保険料が年10万円だった人は、事故を1回起こすと年2万円の負担増になる。 大手損保は「保険料の負担感が一気に増えると保険への加入をやめる人が増えかねない」と考えた。新等級制度の導入で、事故を起こした時の保険料の上昇を緩やかにすることにした。 今回の見直しでは、1つの等級には事故を起こして上の等級から落ちてきた人と、無事故で下の等級から上がってきた人の2つの性格の契約者が存在する。従来の制度では2つの層の割引率は同じだったが、新たな等級制度では事故を起こして落ちてきた層には罰則要素の強い割引率体系を別に用意する。 |
0 件のコメント:
コメントを投稿